防災情報「南海トラフ地震臨時情報」を十分に認知していたのは指定公共機関でも約5割、アンケート調査結果を公表 中央防災会議WG
掲載:2024年12月11日
リスクマネジメント速報
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政府の「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」が策定から10年が経つことを踏まえて防災対策実行会議の下に設置された「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」は11月22日、今年初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」を受けての防災対応に関するアンケート調査結果を公表しました。南海トラフ地震臨時情報は気象庁が2019年から運用を始めていた防災情報ですが今年8月8日の九州・日向灘を震源とする地震発生まで発表されたことがありませんでした。調査は、発表当時における地方公共団体や事業者などの対応について把握し検証・運用改善を図るために実施されました。
調査対象となったのは、「南海トラフ地震防災対策推進地域(※1)」(以下、推進地域)に指定されている地方公共団体と、同地域を対象に事業展開する鉄道などの指定公共機関(※2)および指定公共機関以外の運輸、観光などの事業者です。
調査は9月13日に始まり11月6日時点までの結果を集計しました。推進地域である1都2府26県、571市町村と、69指定公共機関および337事業者から回答を得ました。
公表された調査結果によると、都府県の9割近く、市町村の8割以上が、発表前から臨時情報の制度を認知していたものの、十分に認知していたのは都府県で約5割、市町村では約2割となり、発表当時にとるべき防災対応について戸惑ったところも多かったことが分かりました。一方、災害対策本部などの災害対応を実施するための体制を立ち上げたのは、回答を得たすべての都府県であり、市町村においても7割近くにのぼりました。
指定公共機関を含む事業者の対応については、指定公共機関とそれ以外に分けて図示されています。発表前から臨時情報の制度を認知していたのは指定公共機関の約9割、指定以外の運輸や観光などの事業者では約6割でした。十分に認知していたのは指定公共機関で約5割、指定以外の事業者では約1.5割にとどまりました。
事業者の当時の対応としては例えば、交通事業者では、南海トラフ地震が発生した場合に想定震度が大きいとされる区間において終日速度を落として運行を継続するといった対応がされていました。初の南海トラフ地震臨時情報を経験して、事業者から政府への要望もまとめられています。例えば、「業種別に特化した対応方針、BCP策定のガイドラインが欲しい」といった声が寄せられました。
※1 南海トラフ地震防災対策推進地域は南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法において定められるようになりました。南海トラフ地震が発生した場合に著しい地震・津波被害が生ずるおそれがあるため、防災対策を推進する必要がある地域を指定します。
※2 指定公共機関は災害対策基本法において定められています。日本赤十字社や日本放送協会(NHK)などの公的機関のほか、電気・ガス・輸送・通信・流通などの公益的事業を営む法人が対象です。
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