衛星活用の漏水調査や「分散型」水道システムの実証事業を計画、能登半島地震・豪雨の復興・復旧に向けて実績と今後の予定を公表 国交省
国土交通省は昨年末、昨年元日に発生した能登半島地震と同年9月の記録的豪雨で被災した地域での復旧・復興の実績見込みと今後の主な予定について取りまとめ、公表しました。国土交通省はインフラ整備とまちづくりを担っており、被災者の暮らしとなりわいを再生すべく、総力を挙げて復旧・復興に取り組んでいます。
能登半島地震では、建物の倒壊のほか火災が発生し、石川県や新潟県の一部では津波による浸水、石川県と新潟県、富山県の広い範囲で液状化による被害などが発生しました。インフラでは道路、上下水道施設において大きな被害が発生し本格復旧に向けては時間を要するとみられています。河川や港湾に関する公共土木施設も甚大な被害を受けました。
道路では、落石を除去したり、陥没箇所の段差を解消したりして通行ルートを確保してきました。その最中に記録的豪雨が発生、再度被害を受けましたが、国道249号沿岸部を経由した輪島(門前町)~珠洲間の通行については、当初の目標どおり2024年内に確保しました。また、県が管理する道路についても、豪雨後に再度、全ての集落・漁港・浄水場へのアクセスを確保しました。
上下水道については、奥能登地方において被害が甚大でした。現在は輪島市と珠洲市の建物倒壊地域を除いて、水道事業体が管理している水道施設の応急復旧が完了し水を供給しています。ただ、七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町の能登地方6市町では、水道管から漏水している可能性がある状況となっています。
漏水箇所を特定するため、まずは漏水調査箇所のスクリーニングとして衛星技術やデジタル技術を活用した漏水調査を行います。従来の水道管の漏水調査は管路が埋設されている地域を数年かけて調査するものが主流でしたが、効率化を図る目的で衛星技術やデジタル技術を活用した解析を導入します。公表された資料によると、同技術を導入した愛知県豊田市では、調査期間が5年から7カ月になり、調査費用は大幅に削減され漏水発見箇所は69件から259件に増加したとされています。
また、能登地方6市町においては上下水道システムにおいて「分散型システム」の実証事業も行います。分散型システムとは、中山間地域で用いられる小規模な水供給システムの総称で、井戸水を利用するものや、ろ過機能を持つ小型の浄水装置を活用するものなどがあります。なお、都市部での水道は拠点となる浄水施設から排水管を通じて各世帯に供給する「集約型」となります。
国土交通省ではこのほか、河川や海岸、土砂災害、港湾、空港などについても実績見込みと今後の予定について公表しています。