上下水道システムの耐震化や代替性・多重性の確保へ、検討委員会が最終報告書を公表 国交省
掲載:2024年10月18日
リスクマネジメント速報
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能登半島地震での被害を踏まえ、上下水道施設の地震対策について議論してきた政府の委員会は9月30日、最終とりまとめを公表しました。能登半島地震での災害対応と課題を整理した上で、今後の対策のあり方を提言しました。
委員会の正式な名称は「上下水道地震対策検討委員会」です。能登半島地震の発生を受けて今年3月に設置され、有識者や国土交通省、自治体など関係団体が参画し、計3回の会合が開かれました。
審議の対象となったのは、上下水道施設の被害を踏まえた今後の地震対策のあり方▽被災市町の復興に向けた上下水道の整備の方向性(地域への助言)▽上下水道一体での災害対応のあり方――の3つです。これらについて検討した内容を報告書「上下水道地震対策検討委員会報告書 令和6年能登半島地震における上下水道施設被害と今後の地震対策、災害対応のあり方~災害に強く、持続可能な上下水道システムの構築に向けて~」としてまとめました。
報告書によると、能登半島地震の被災地では、上下水道施設に甚大な被害が発生し、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県の6県で最大約14万戸が断水しました。上下水道システムの基幹施設において耐震化が遅れた箇所があり、広範囲の断水および下水道管内の滞水が発生しました。一方、耐震化が進んだ施設では重大な被害はなく、事前防災としての耐震化の効果が再確認されました。また、応急的な給水機能として可搬式浄水施設などが有効に活用されました。
こうした災害対応と課題を踏まえ、検討委員会は国や自治体、研究機関、民間企業、日本水道協会および日本下水道協会などの各主体に向けて今後の対策のあり方を示しました。地震対策に関する技術指針の拡充・見直し、施設の耐震化および代替性・多重性の確保、上下水道の総合的かつ計画的な地震対策の推進を求める内容となっており、例えば、上下水道システムの「急所」となる施設(浄水場や下種処理場など)の耐震化や、避難所など重要施設につながる上下水道管路の一体的な耐震化などを提言しています。
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