国交省へ「道路啓開計画」策定の推進などを求めた勧告、国交省の改善措置状況を公表 総務省
掲載:2024年12月12日
リスクマネジメント速報
目次
総務省は11月、「災害時の道路啓開に関する実態調査<勧告に対する改善措置状況(1回目のフォローアップ)の概要>」を発表しました。災害時の道路整備に関する課題をふまえて、2023年4月に総務省が国土交通省に対して実施した勧告を踏まえ、国土交通省がどのような改善措置を行っているのか、その現状が報告されています。
大規模災害時の道路では、渋滞や人々の避難にともなう車両放置などで、通行が困難になることがあります。東日本大震災では、緊急通行車両の移動ルートを切り開く「くしの歯作戦」が実行されたものの、放置車両の取り扱いが不明確だった点、行政からの要請が重複したことで民間事業者が対応に苦慮した点などの課題が明らかになりました。また、この作戦は災害発生後に立案されたものでした。
2014年に災害対策基本法が改正されたことに伴い、国および地方公共団体では、道路啓開計画を策定することや、民間事業者等との車両移動に係る協定を結ぶこと、訓練を実施することなどが求められています。首都直下地震や南海トラフ地震などの大規模地震が今後30年以内に発生すると想定され、道路啓開の備えを整える必要性が一層高まる中、総務省は、国(地方整備局)や地方公共団体における、道路啓開に関する取り組み状況を調査しました(2021年9月~2023年4月)。その結果、地方公共団体における道路啓開計画の策定の進捗に差があることや、人員や資機材の確保に課題があることなどが分かりました。
調査結果をふまえ、総務省は2023年年4月、大規模地震が発生した際に円滑かつ迅速な道路啓開が行えるよう、国土交通省に対して道路啓開計画の策定など複数の事項を勧告。今回発表された文書は、2024年11月18日時点での、国土交通省における勧告後の改善措置状況をまとめたものです。
例えば、「各道路管理者が道路啓開を適切に実施できるよう、国が主体となって協議会等を設置するとともに、協議を通じ、道路啓開計画の策定などの備えを推進すること」という勧告をふまえ、国土交通省は地方整備局等に対し、協議会等の設置や、事前の備え(道路啓開計画の策定など)の推進を指示しています。この指示を受けて、道路啓開計画が未策定であった東北地方整備局・北陸地方整備局は、管内の道路管理者などから成る協議会を設置。令和6年内の計画策定を予定しています。また、10月25日時点では10県で道路啓開計画が未策定となっているものの、協議会の設置により計画策定に着手しています。
また、勧告内容にあった「地方整備局等において、協定締結先の民間事業者等から、災害時に対応可能な人員・資機材量や、他の道路管理者との協定締結の重複状況を把握し、不足分の対応の検討も含めた人員・資機材の確保を行うこと」という事項に対して、国土交通省は、全ての地方整備局等で、協定を締結している民間事業者等から、人員・資機材量のリストを定期的に報告させる仕組みを構築しました。
さらに、「平時に備えるべき事項(民間事業者等が対応可能な人員・資機材量や協定の重複状況の把握、民間事業者等に対する道路管理者から委託を受けていることを示す身分証明書の発行等)について周知等を行い、取組を促すこと」という勧告をふまえ、国土交通省は地方整備局等に、勧告内にある準備事項について、地方公共団体への周知を指示。身分証明書の発行については、発行することで対応できるようになる業務を資料にまとめ、周知するように依頼しています。