国土交通省はこのほど、「能登半島での地震・大雨を踏まえた水害・土砂災害対策のあり方について」と題した提言を発表しました。
昨今では大規模地震の発生が各地で懸念されているだけでなく、気候変動による大雨の頻度も高くなっています。そして、今後は複合災害(先発の自然災害の影響が残っている状態で次の自然災害が発生することで、単発の災害に比べて被害が拡大すること)の発生頻度も高まることが予想されています。能登半島では、2024年の能登半島地震からの復旧・復興途上にあった被災地で、同年9月に記録的大雨が発生し、甚大な被害が発生しました。
そこで国土交通省は、「能登半島での地震・大雨を踏まえた水害・土砂災害対策検討会」を設置し、複合災害などによる被害を効率的・効果的に防止・軽減させるための手法について検討を進め、本提言を取りまとめました。
提言内容は2つの柱から成り立っています。
1つ目は、「複合災害の発生に備えるための先発の自然災害発生後の応急対応の強化」です。複合災害はその組み合わせが多岐にわたります。また、先発災害の影響によって、単発の災害と比べて小さな外力で被害が発生したり、単発の災害と比べて被害が拡大したりする場合があります。
そこで本提言では、まず単発災害の事前対策として、浸水想定区域の公表をはじめとした事前のリスク周知、堤防・砂防堰堤の整備、耐震化などの計画的なハード対策などが必要だとしています。また、複合災害による被害を防止・軽減させるために必要な事前対策として、複合災害シナリオの想定、地形・施設データの取得・保存、変状把握や地域の安全度評価手法の確立などを挙げています。
実際に先発の災害が発生した際には、速やかに地形・施設の変状を把握し、地域の安全度評価を行い、状況変化に照らして応急対応をすることで、後発の災害による被害を防止・軽減する必要があると提言しています。
2つ目の柱は「土砂・洪水氾濫など土砂、流木の流出への備えの強化」です。土砂・流木を捕捉すること、堤防を強化すること、災害時の映像などを蓄積・活用して被災メカニズムを分析して対策の検討を進めることなどが挙げられています。山地から河口までの全体を俯瞰して捉え、関係部局が連携して効果的な対策を進めることが重要だとしています。
今後は本提言を踏まえて具体的な取り組みが進められる予定です。