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用語集

ハザードマップ (Hazard Map)

2012年07月30日

「ハザードマップ」とは、特定の地域で特定の自然災害が発生した場合に、その被害が当該地域にどのような被害をもたらすかを地形図上に図示したものです。

国内で「ハザードマップ」が作成されるようになった契機としては「水防法」(昭和二十四年制定)の規定があります。「水防法」では「一級河川」について

「洪水時の円滑かつ迅速な避難を確保し、水災による被害の軽減を図るため、国土交通省令で定めるところにより、当該河川の洪水防御に関する計画の基本となる降雨により当該河川がはん濫した場合に浸水が想定される区域を浸水想定区域として指定する」(第十四条)
と定められており、これに従って対象河川の洪水の予想図の整備が進められたのがハザードマップの起源といえます。

その後、平成16年に全国的に暴風雨による水害被害が多発したことで全国的に水害に対する関心が高まり、翌平成17年に「水防法及び土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律」が制定され、浸水区域の指定が大型河川以外にも拡大されました。これが各地の自治体でのハザードマップ整備を加速化した原動力となりました。このため現在でも「ハザードマップ」と称されるものは、水害時の浸水区域の予想図に避難情報などを加えたものが多いのです。

ハザードマップの作られ方、種類

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現在一般に利用可能な「ハザードマップ」の大半は、地方公共団体、主に各地の「市庁」(政令指定都市の場合は「区庁」)で作成されたものです。主に国土地理院が作成・管理する「土地条件図」の上に、国または都道府県で調査した浸水予想地域を色分けして図示し、併せて避難場所、避難経路など、その自治体が独自に地域住民の事前の避難活動に役立つ情報を重ねて示す形式となっています。

我が国で公共団体によって作成されている各種の「ハザードマップ」は、国土交通省が運営する「国土交通省 ハザードマップポータル」(記事下部、関連リンク参照)で一覧することが出来ます。

下表は、ハザードマップポータルに掲載されているハザードマップの公開自治体数です。

ハザードマップの問題点、課題

防災対策には非常に有効なハザードマップですが、利用にあたってはいくつか注意点があります。

(1) 被害想定を導くには

現存するハザードマップは、個々の災害毎に水害であれば浸水深度、地震発災時の予想震度、液状化危険度の高い地域などが地図上に図示されています。しかし、マップ間の関連性については言及されていないため、利用にあたっては注意が必要です。例えば大地震が起こった際に個々の家庭や企業が総合的にどのような被害に曝されることになるのかを判断するには、複数の異なる地図を組み合わせて被害を予想することが求められます。
他方、作成する側の自治体の立場から考えても、住民の実際の防災活動にどのように活かしてもらうのかまで含めた情報提示のあり方は非常に難しい課題であり、まだ発展途上の過程にあると言えるでしょう。

 

(2) 避難情報は事前に確認が必要

避難場所、避難経路などの避難情報の提示の仕方は各自治体によってかなり異なります。そのため、見やすいものもあればそうでないものもあるのが実情です。また、どの住所の住民が被災時にはどの経路を通ってどの避難場所へ行けばよいのかは必ずしも明示されていない場合が多く、ハザードマップを見るだけでは具体的にどのように行動すればよいのかがわかりにくくなっています。
但し、この点については水害の場合をとっても過去の事例から、事前に想定されていた避難経路や避難場所が実際の被災時には適合しない場合もあり、一律に地域毎に特定の経路や避難場所を指定することが難しいと判断されるという背景もあるようです。

 

(3) 情報の更新日を確認しましょう

近年、温暖化効果の影響か、台風・暴風雨による水害被害が激化しており、過去数十年なかったような被害に襲われる地域の例も多くなっています。この場合には、既に作成されたハザードマップの想定や予想では通用しない場合も出てきており、災害想定に対する専門機関の調査や予測が追いつかない状況が出現しています。
これは技術的な問題も大きいため、最新の気象条件や地震等自然災害に関する研究調査の結果を随時更新してハザードマップの内容を見直していくことには限界があり、越えがたい課題として浮上しているのが実情です。
 

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上記は、ハザードマップを利用する上での注意点でしたが、ハザードマップの情報提供における課題についても簡単に触れたいと思います。

 

(4) 公開方法

せっかく作られたハザードマップですが、対象となる地域住民に十分に周知されているのか、また避難情報として個々の地域の防災対策などに有効活用されているのかについては疑問があります。前出の「国交省ハザードマップポータル」の統計に示されているように公開している自治体の多くでインターネット上でも自治体のホームページ内で公開されていますが、アクセスしにくかったり、どれが最新版か分からないなど問題も多いので、情報収集にあたっては注意が必要です。

 

(5) 二次的な風評被害

ハザードマップの作成、公開により、水害や液状化の被害が想定される地域として公示されると、該当地域の地価が下落するなど、地域の経済活動に対する悪影響が生じるという批判も発生しています。批判は理解できますが、しかし同時に発災時の被害の確率が高いことも事実です。ついては、該当する地元地域では事前の防災対策を充実することで逆にその安全性を高める等の工夫によりマイナス・イメージを減じる努力が望まれますが、同時にハザードマップを公開する自治体の側でもこの種の風評被害への十分な配慮を行った上での有効な公開のあり方を、地元住民とのコミュニケーションを交えつつ、検討していただきたいものです。

当然企業でBCP策定に携わられる方はハザードマップを活用されることと思います。その際は上記の点を踏まえて活用してください。また、ハザードマップの活用方法については、以前コラム記事も掲載しているので、そちらもご参照ください。

 

(文責:吉原 敏仁

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