東京都は5月28日、「東京都地域防災計画 火山編(令和7年修正)」を公表しました。
都は2月7日に「東京都地域防災計画 火山編(令和7年修正)」の素案を公表し、意見を募集していました。このたび公表された計画は、寄せられた意見もふまえて決定したものです。
「東京都地域防災計画 火山編」は、災害対策基本法に基づき、東京都防災会議が策定する計画です。予防、応急・復旧、復興の各段階に応じて、都及び防災機関が行うべき火山対策を記載しています。
今回の令和7年修正版は、2023年12月に策定した「大規模噴火降灰対応指針」における降灰対策の方向性を踏まえて作成されたものです。また、図上訓練で明らかになった課題をもとに、島民の安全確保に向けた避難体制を一層強化することも念頭に置いています。
本計画は島しょ火山の対応、富士山噴火降灰対応の2つの柱から成り立っています。
まず、島しょ火山の対応としては、円滑な避難に向けて、タイムラインごとの各機関の役割や業務の手順をあらかじめ取り決めることが必要であるとしています。発災時の初動体制を一層強化することを念頭にハザードマップを見直すことなども掲げられています。
また、協定事業者や防災機関との連携を強化して、陸・海・空の輸送手段を活用し、島民が安全に島外へ避難できるようにする必要があるとしています。船舶の保有台数や港の係留施設の規模などに応じた輸送手段の配分方法をあらかじめ取り決め、避難計画に反映することも対策の方向性として示されています。さらに、状況が逼迫した場合に備えて島しょ間や周辺県との連携を一層強化し、避難者の一時収容のための体制を構築することも掲げています。
富士山噴火降灰対応でも、さまざまな対策が示されています。例えば、初動体制の迅速化に向けて、計測した降灰厚の情報を一元化し、地図上で降灰情報を分かりやすく表示する仕組みを構築する必要があるとしています。緊急車両の通行を早期に回復するために、優先的に除灰する拠点や道路を指定するとともに、道路除灰の手順を定めて訓練することも対策として示されています。
さらに、島しょ火山対応・富士山噴火降灰対応の両方において、都及び防災機関は国や報道機関と連携しながら、発災時に適切な情報を発信することが重要だとしています。また、自助公助の取り組みとして、防災人材の育成などを通じて、消防団や自主防災組織などの活性化を促進し、災害ボランティアの受け入れ体制を整備することもポイントとなっています。
本計画は毎年検討を加え、必要に応じて修正することとなっています。