東京都はこのほど、「東京防災アクションプラン」を公表しました。
「東京都防災アクションプラン」は、都が地域防災計画で定めている減災目標(2030年度までに、首都直下地震等による人的・物的被害をおおむね半減させる)の達成などに向けて、防災対策を計画的に推進するための事業計画です。地震だけでなく、風水害や火山噴火に関するアクションプランも盛り込まれています。
都は2月14日~3月16日にかけて、アクションプランの素案に関して意見公募を行っていました。このたび発表されたのは、意見公募結果もふまえて確定したプランです。
「東京都防災アクションプラン」は、「都市の強靭化」と「災害対処能力の向上」が2つの柱となっています。「都市の強靭化」の具体策としては、不燃化の取組や液状化対策、通信設備の強化などが挙げられています。「災害対処能力の向上」では、自助・共助の底上げによる地域防災力の強化、要配慮者の視点に配慮した防災対策、防災DXの推進、防災資機材の整備などが挙げられています。
素案段階からの変更点としては、自助と共助の重要性がより強調されています。例として、阪神・淡路大震災における倒壊家屋からの救助の分類として、自助が合計66.8%(自力で:34.9%、家族に:31.9%)、共助が合計30.7%(友人・隣人に:28.1%、通行人に:2.6%)、救助隊による公助が1.7%だったというデータを掲載しています。
また、地震・風水害・火山噴火における具体的なアクションプランも一覧できるようになっています。まず、それぞれの発災時に懸念されるシナリオをもとに想定されるリスクが洗い出されており、各リスクに対応するために「行うべき取組」を整理しています。その上で、項目ごとに目指すべき将来像をまとめ、自助・共助・公助の観点から準備すべきことをまとめています。
例として、地震対策のアクションプランでは、4つの状況別にシナリオを掲載しています(自宅から避難所への避難▽マンションでの在宅避難▽帰宅困難者をとりまく状況▽島しょ地域における地震・津波の発生)。その上で、シナリオから導き出されるリスクを多数洗い出しています。また、各リスクに対応するために「行うべき取組」として、「建物の耐震化、更新等」「住民による救出活動の展開」「出火・延焼の抑制」「安全で迅速な避難の実現」など合計11個のアクションが挙げられています。その上で将来像を示し、家庭や地域、都が備えるべき事項をまとめています。
このほか、減災目標の達成に向けた都のこれまでの取り組みも振り返っています。