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コラム

世界最大規模の地震防災訓練「Shake out」日本版 2012年3月9日(金)実施

2011年12月07日

コンサルタント

林 和志郎

コンサルタント 林 和志郎

3.11後、想定外という言葉が氾濫しました。今後発生が懸念される大規模地震に対して日本で生活する私達ができることは、日頃から危機意識を高く持ち、訓練を積むことによっていざという時の対応力を高めることです。実践的な防災リテラシー(防災に関する知識や技術を自ら学ぶことができる能力)を身につけるための取り組みとして、アメリカで実施されている「ShakeOut」が、来年日本でも実施されることになりました。

「ShakeOut」とは

「ShakeOut」は2008年からカリフォルニアで始まり、2011年には950万人を動員した大規模防災訓練です。参加者は参加の意思表明を事前にネットで登録し、指定された開催日時に自主的に防災訓練をおこないます。訓練の内容は最も初歩的な“drop, cover and hold on”(日本の小学校の避難訓練ではお馴染みの机の下に伏せる、(頭を)覆う、つかまる)から、業務復旧手順の確認をおこなうものまで、参加者が自由に選択をします。ポイントは、実際に体を使い、より多くの人が参加し、その体験を共有することにより、実践的な防災リテラシーを高めることにあります。

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アメリカ「ShakeOut」950万人の集客方法

参加を希望する個人・団体・企業・学校・行政等は、ネットから参加登録をします。アメリカではこうした取り組みに参加していることを意思表明させることで、簡易な防災訓練を社会運動にまで発展させています。(仕組みは自己参加型の「チャレンジ25」に似ています。)

取組み易さと大学生のインターネットを活用した集客が成功し、2008年に南カリフォルニア州で実施された第1回目には学生・住民含む約540万人が参加しました。2009年の第2回目にはカリフォルニア州全域で実施され約690万人、2010年の第3回目では隣のネバダ州、グアムも参加し約790万人、そして今年2011年の第4回目は860万人が登録参加をしました。

今年の9月1日「防災の日」に日本では全国35都道府県で防災訓練がありましたが、その参加者数は51万7千人(内閣府調べ)と言われています。日米の人口差異を勘案しても、アメリカ「ShakeOut」の規模の大きさが驚異的であることが分かります。(訓練参加者の人口に対する割合:アメリカの人口約31,466万人に対して27.3%、日本の人口約12,800万人に対して4.0%)

多くを望まず3つの事を

日本の小学校ではお馴染みの地震訓練ですが、アメリカでは地震が多いカリフォルニア州でもこうした訓練はあまり徹底されていません。そこで、この社会運動が目指したのは、この初動対応の徹底です。

「ShakeOut」の参加者は開催日時(2011年の場合は10月20日10時20分)に想定された地震が発生したという前提で訓練をスタートします。参加者は地震発生直後の初動対応(自助)である“drop, cover and hold on”(伏せる、(頭を)覆う、つかまる)を実施します。(最低2分間)

訓練は各家庭や学校、病院、企業、政府施設など様々な場所で自主的におこないます。(小学校で行われた訓練:参考リンク参照)。初動対応だけであれば、多忙な企業でも簡単に参加できます。一般参加者の訓練とは別に、消防や専門機関では被災者の救出訓練や行政・災害ボランティアによる食事提供訓練・避難所開設などの取組みが実施されます。

みんなで参加することで連帯感を共有

学校でも、職場でも、みんなが参加している。他の人が参加しているのを見て、自分もやらなければという気持ちになることが毎年参加者を増やし、この活動が社会現象になった理由の一つでしょう。参加者がインターネットを積極的に活用しYouTube、Facebook、Twitterや個人ブログなどで情報共有することで、連帯感が高まることも効果の一つです。

「Shake out」日本版のポイント

日本では、来年2012年3月9日(金)13:00(予定)に第1回目が開催されます。実施にあたっては下記がポイントになります。
  1. 地震研究の成果を活用した訓練手法の実施
  2. 地震・災害の有識者の参加
  3. 世界屈指の緊急地震速報を活用
  4. “drop, cover and hold on”の基本の実施
  5. ソーシャルメディアを活用

なお、第1回目は東京都千代田区が行政として既に参加表明をしており、千代田区の地域特性(企業が多い、昼間人口の避難所が不足など)を活かした訓練を検討中です。

最終的には参加者1000万人を動員する新しい国民運動に発展させ、参加者の防災リテラシー向上、大規模災害に備えることを目標としています。

現在「ShakeOut」日本版のWebサイトは準備中で、2012年2月頃から参加登録が可能となる予定です。

従来型の訓練から発展させた訓練

「ShakeOut」日本版は、2007年から文部科学省特別研究として進められている5カ年間の研究開発プロジェクト「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」の一部として、九都県市首都直下地震対策研究協議会(大学関連の地震・危機管理の専門家で構成)(※)と災害救援ボランティア推進委員会(消防庁後援で災害時のボランティアリーダーを育成)が主催します。

従来の行政主導による住民・学校動員型の訓練ではなく、行政と住民、専門家、ボランティア等が協働して企画・運営することにより、個々人の自助力・共助力を向上させることを目標とします。訓練では科学的な知見にもとづいた首都直下地震の被害想定をもとに防災訓練を実施することで、防災リテラシーの向上も期待できます。

(※)埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市

最後に

毎年日本では全国の学校や地域で防災訓練が実施されております。3.11を経験した私たちは改めて地震の脅威を体感し、自分が怪我をしないこと(自助)、そして防災リテラシー向上の重要性を認識しました。

決まりきった防災訓練ではなく、防災リテラシーを向上させることで実際にできる予防(棚の固定、備蓄、避難場所の確認など)や家族との災害時の話し合い、企業での事業継続、企業間協力、社員の安否確認手段の複数化などの話し合いに発展することを期待します。

地震は必ず起こることを全員で再認識し、子供から年寄りまでが参加できる取組みとして、千代田区から東京全体、東京全体から首都圏そして日本全国への取組みとして広まることを強く望みます。

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