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用語集

クラウドコンピューティング

2009年04月05日

クラウドコンピューティングとは、一言で述べると「雲の向う側の世界の(インターネットの向う側にある)巨大な情報処理施設を利用(・提供)する技術の総称」です。クラウドコンピューティングは、大きく3種類に分類できます。

  • SaaS(サース):ソフトウェアサービスを提供するサービス
  • PaaS(パース):プラットフォームを提供するサービス
  • IaaS(イアース):インフラストラクチャを提供するサービス

具体的に、現在どういったサービスがあるのか?

ソフトウェアを提供するサービス(SaaS)
具体例としては、Google社が提供するメールシステム(Google Apps Mail)や、セールスフォース社が提供する顧客管理システム(CRM:営業活動を支援する機能などを持つ)などがあります。これにより、自社でわざわざサーバ施設を用意し、必要機材を調達し、OSやメールソフトなどをインストールするという面倒を踏まずとも、即日から高い機能を持つソフトウェアを導入することが可能となります。

プラットフォームを提供するサービス(PaaS)
具体例としては、マイクロソフト社が提供するWindows Azure(アジュール)※1やセールスフォース社が提供するForce.comなどがあります。これらを利用すれば、OSおよびミドルウェア(データベースやアプリケーション実行環境、システム管理ツールなど)が全てセットアップされた環境を即座に利用することができます。PaaSとSaaSの違いは、利用できるソフトウェアの制限にあります。SaaSでは、利用者が利用できるソフトウェアは、あくまでもITサービスプロバイダが提供するソフトウェア(Gmailなど)に限られます。一方、PaaSでは予め開発しやすい環境が整えられているため、利用するソフトウェア自体を利用者が自分達で比較的容易に開発し利用することができます。

インフラストラクチャを提供するサービス(IaaS)
IaaSは、更に自由度の高いサービスです。具体例としては、Amazon社のEC2が有名です。いわゆるレンタルサーバサービス(サーバにOSがセットアップされた環境を提供してくれるサービス)のようなものですが、EC2では、仮想化技術などを利用しているため、顧客のニーズにあったカスタマイズされたOS環境を即座にセットアップすることができます。1000種類を超えるOSイメージファイルを事前に用意しているそうですので、サーバセットアップの手間が不要になります。

クラウドコンピューティングは何がすごいのか?

クラウドコンピューティングの最大の特徴は、圧倒的な可用性・拡張性の高さと、リーズナブルな価格体系にあります。「なぜ、クラウドコンピューティングでは、安価に高可用性・高拡張性を実現できるのか?」というと、仮想化技術やデータ分散処理技術などの最新の技術を駆使して、最大限のスケールメリット(規模の経済)を追及したサービスを提供しているためです。何千台、何万台というサーバ群を組み合わせた高度なサービスを、自由に切り売り(・買い)できるのがクラウドコンピューティングであるということもできます。

たとえば、自社がブログサービスを提供するITサービスプロバイダであったとします。何らかのきっかけで爆発的な人気を呼び、会員数が一気に100人から10万人にふくれあがったとします。ブログサービスを支えるITシステムを自社でまかなっていたとしたら、これにどのような対応をとることができるでしょうか? 何百台ものサーバ機材を調達し、ソフトウェアの設定を行ない・・・という作業を考えると、おそらく数ヶ月、いや、半年以上の時間がかかるでしょうし、それにかかるコストも半端ではなく、極めて非現実的です。

ところがクラウドコンピューティングを活用していれば、既存の設定に大幅な手を加えることなく一気に何百台ものサーバを確保・用意することが可能になるわけです。事実、アメリカのニューヨークタイムズ社では、過去の100年分の新聞記事のPDF化処理を行なうのに、一時的にAmazonのE2サービスを活用し、1日でその処理を終えたと言われています。しかもその際にかかったコストは、100台のサーバサービス利用分とPDFデータの転送量だけであり、トータル1,240ドル(約12万4千円)のみだったそうです。

クラウドコンピューティングとBCP

クラウドコンピューティングは、組織の事業継続の実現を支えるソリューションの1つ、ということができます。

組織の事業継続実現に必要なことは、「対応力」と「復旧力」の改善を図ることです。「対応力」とは、被災した際の業務への影響自体を最小限に食い止める力を指します。例えば、地震で大きな揺れが起きても、システムへの被害をおさえるなどがそれにあたります。また「復旧力」とは、被災してたとえ業務が影響を受けた場合でも、即座に復旧できる力を指します。

「対応力」を改善させるためには、たとえば地震からの被災を免れるために、免震装置(地震の揺れを吸収して機材へ物理的な影響がおよぶことをおさえるものです)を導入したり、火災が発生してもサーバルームが燃えないようにするためサーバ施設の建築材として不燃性のものを使うといった対策が挙げられます。

また「復旧力」を改善させるための一例としては、データレプリケーション技術を使った高速なリカバリーソリューションを使うことが挙げられます。万が一、オリジナルのデータが破砕しても、すぐにデータを復旧させ業務に利用できるようにすることが可能になるという点で、「復旧力」の改善ということができます。

このように、組織の事業継続実現の鍵は「対応力」と「復旧力」の改善にあると言えますが、クラウドコンピューティングは、この「対応力」と「復旧力」に大きく寄与する力を持っています。

1つには、クラウドコンピューティングを利用することで、被災範囲(影響)を減らすことができます。たとえば、本社ビル内のサーバ施設が地震による被災を受けたとします。従来であれば情報システム管理部門は被災したシステムの物理的な復旧から始める必要がありましたが、もし、自社で管理運用していたメールシステムを信頼性の高い外部業者に物理的に外出ししてあれば、情報システム管理部門は、エンドユーザがインターネットに接続できる環境さえ整えてあげればいいだけになります。

2つめには、クラウドコンピューティングでは、DRサービス(バックアップシステムを用意するサービス)自体をあわせて提供している点を挙げることができます。(※ITサービスプロバイダによります)
たとえばAmazon社の提供するEC2サービスでは、利用者が利用しているシステムが、物理的な障害で利用できなくなってしまった場合のために、すぐにバックアップシステムに切替えることができるようなDRサービスをオプションで提供しています。EC2サービスの利用者はWEB画面でのマウス操作だけで、簡単にバックアップシステムを用意することができます。自社で情報システムを丸抱えしていた場合、そのバックアップシステムを構築するためには莫大な投資が必要であるというケースも少なくなかったのですが、クラウドコンピューティングを利用することで、そういった課題を解決することができる可能性があります。

BCPの答えはクラウドコンピューティングか?

クラウドコンピューティングは、有効なBCPを確立するための極めて有効な選択肢の1つであることは間違いありません。

しかしながら、クラウドコンピューティングも万能ではないことを知っておく必要があります。最大の懸念は、ITサービスのブラックボックス化が、もたらす負の側面です。ITシステムを、組織の管理外におくため、何か問題が起きても完全な原因追及を行なうのは難しく、情報セキュリティの観点からは大きな懸念事項になると言えます。その他にも改善されるべき点はまだ数多く残されています。

したがって組織は、クラウドコンピューティングのメリット・デメリットを慎重に勘案して、最善の対策を考えていくことが肝要だと考えます。
※1. 2009年末にサービス開始予定

(文責:勝俣 良介

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