安否確認
掲載:2011年01月24日
用語集
『安否確認』とは、災害発生時に従業員の安否と被災状況を迅速に把握することであり、災害時の初動対応の中でも重要な位置を占めるものです。
災害時こそ難しい安否確認
『安否確認』の手段として真っ先に考えるのは、固定電話・携帯電話だと思われます。
しかし、東京都が公表している東京湾北部地震(首都直下型)における被害想定では、M7.3の場合、通信システムの1日目の不通率は10.1%、完全復旧までには14日とされています。加えて発災直後には、通信が集中して繋がりにくい状態が起こり(大晦日から元旦にかけての通信の規制などと同様の状況)、安否確認手段として固定電話や携帯電話が使えるかどうかは不確実です。
過去の例を挙げますと、新潟県中越地震(2004年10月)では、固定電話約4500回線が不通となり、携帯電話の基地局が停電によりダウン。最終的に復旧したのは2ヶ月後近くだったそうです。また、新潟県中越沖地震(2007年7月)では、発災直後から同県へむかう通信が通常の16倍に増加、NTTは89%の通信制御を行ったため、結果、10回に1回しかつながらなかった、と言われています。
インフラを担う企業の側も、災害から得た教訓を活かして様々な対策を講じ、過去と同様の被害となる可能性は低くなっているようですが、災害時には(当たり前ですが)、どのような事態が起こるか予測できませんし、災害の種類や地域などによってどの通信手段が有効かということにばらつきが出る可能性もあるため、安否確認をできるだけ確実に迅速に行うためには、複数の通信手段を考える必要があると言えます。
安否確認を確実に行うための代替通信手段
固定電話・携帯電話の代替通信手段として考えられるものは、災害用伝言サービス、携帯メール、公衆電話やIP電話、衛星電話などに加えて、市販の安否確認システムや、グループウェアに組み込まれているシステムなど様々なものが挙げられます。下表にメリット・デメリットをまとめてみました。
代替通信手段 | メリット | デメリット |
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災害時優先 電話(※1) |
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公衆電話 |
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携帯メール (携帯電話各社) |
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専用回線 |
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業務無線 |
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災害用伝言ダイヤル(171) |
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災害用ブロードバンド伝言(web171) |
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安否確認システム(市販) |
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グループウェア |
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衛星電話 |
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※1. 災害時優先電話とは、災害の救援、復旧や公共の秩序を維持するため、法令に基づき、防災関係等各種機関等に対し、固定電話及び携帯電話の各電気通信事業者が提供しているサービスです。災害等で電話が混み合うと、発信規制や接続規制といった通信制限(大規模災害時は約90%以上の制限が行われることがあります)により、通常の電話は被災地からの発信や被災地への接続は制限されますが、優先電話はこうした制限を受けずに発信や接続を行うことができます。
※2. 通信量が増加し、電話交換器の許容量を上回ってしまい、極めて電話がつながりにくくなる状況のことです。緊急性の高い通信枠を確保するため、NTTでは輻輳が発生すると通信規制を行うことになります。
※2. 通信量が増加し、電話交換器の許容量を上回ってしまい、極めて電話がつながりにくくなる状況のことです。緊急性の高い通信枠を確保するため、NTTでは輻輳が発生すると通信規制を行うことになります。
自社の状況に合わせた安否確認を
上表で見てきたように、安否確認手段には様々な選択肢がありますが、コスト・効果の観点から自社に最適な安否確認方法を選択することになります。たとえば、数十人規模かつあまり投資余力のない比較的小さい企業においては、携帯電話や携帯メ-ルなど、できるかぎり既存のコミュニケーション手段をそのまま活用することが望ましいかもしれません。逆に従業員規模の大きい組織においては、被災時の混乱を避けるため、専用の安否確認システムを導入するほうが有効と言えるでしょう。
さらに、もう一点安否確認手段選びで重要なポイントは、あらかじめ二重・三重の安否確認代替策まで検討しておくことです。なぜなら、いずれの確認手段も被災時の稼働が100%保証されているわけではないからです。もし、仮に予め定めた安否確認システムが稼働しなかった場合のインパクトには計り知れないものがあります。なお、二重・三重の安否確認手段としては、万が一機能しなかった場合には、社員とその家族間で災害用伝言サービスを活用することを推奨し、キーとなる番号を会社としても把握する、といった方法などが挙げられます。
さらに、もう一点安否確認手段選びで重要なポイントは、あらかじめ二重・三重の安否確認代替策まで検討しておくことです。なぜなら、いずれの確認手段も被災時の稼働が100%保証されているわけではないからです。もし、仮に予め定めた安否確認システムが稼働しなかった場合のインパクトには計り知れないものがあります。なお、二重・三重の安否確認手段としては、万が一機能しなかった場合には、社員とその家族間で災害用伝言サービスを活用することを推奨し、キーとなる番号を会社としても把握する、といった方法などが挙げられます。