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保険会社向けの総合的な監督指針

掲載:2009年03月04日

執筆者:取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介

ガイドライン

この改訂版監督指針は、2009年2月26日に「保険会社向けの総合的な監督指針等の一部改正(案)」という形で金融庁から公表され、3月末までの約1ヶ月間にわたり広く一般の意見の募集を行ない、その結果を加味した上で正式発表されたものです。

         

「事業継続」について大幅加筆

今回の改訂で注目すべき点は、「事業継続管理(BCM)」について大幅に(30行以上)加筆修正されたことです。これまでに比べ、危機に対するより一層の準備を、強く求めています。ここで言う「危機」とは、発生可能性は低いが、一度発生すると事業へのインパクトが大きい事象:地震、火災、新型インフルエンザなどを指します。

「危機管理」から「事業継続」へ

たとえば、従来の監督指針では「危機管理態勢」の構築について言及されていましたが、改訂後の指針では「危機管理態勢」という言葉が削除され、「業務継続体制(BCM)」の構築という表現が使われています。

この変更によって保険会社は、緊急事態が発生した際に対応するための態勢(危機管理態勢)を整えるだけでなく、事件・事故が発生する以前の平常時に適切な活動(業務継続計画-BCP-の見直し等)を行なうための体制もしっかりと整えておくように求められることになったと言えます。そのため、従来要求されていた危機管理マニュアルだけではなく、業務継続計画(BCP)の作成も改訂版では求められています。

今回の変更点は、大きく以下のようにまとめることができます。

パブリックコメントに寄せられた企業の懸念

ちなみに、約1ヶ月間実施したパブリックコメント(意見公募)では、どちらかと言えば「文言や内容の修正に関する指摘」よりも、保険会社が、今回の新しいルールの下で、実際に「どこまでやればいいのか?」「いつまでにやればいいのか?」といった点に関する質問が比較的多かったようです。今後の企業負担増に対する企業側の懸念の強さを表わしているとも考えられます。

いずれにしても、今回の改訂は、世間で広く一般的に理解されつつある事業継続管理(BCM)の考え方が色濃く反映されたものだと考えられます。これにより、企業は、大規模災害に対してのより一層の包括的・体系的な取り組みが必要になるでしょう。
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