全社的リスク管理(ERM)

札幌駅総合開発 様

新たな「まち」の価値を創出するプラットフォーマーとして取り組む、ERM構築

構築・策定 不動産 100人~1,000人
札幌駅総合開発 様

プロジェクトメンバー

お客様 リスク統括部長 山口 啓太 様
リスク統括部 生井 涼太郎 様
ニュートン・コンサルティング シニアコンサルタント 備酒 求
コンサルタント 角田 菜月

お客様の会社概要

札幌駅総合開発様は、JR札幌駅直結の複合商業施設であるJRタワーの運営・管理などを手掛けています。1997年に札幌駅南口開発株式会社として設立し、JRタワーの開業など札幌駅の大規模開発を推進。2003年にJRタワーの開業を経て、2005年には、ショッピングセンターを運営する複数の会社と合併し、社名を札幌駅総合開発株式会社に変更。事業規模を着実に拡大しながら、創業以来、札幌駅周辺の発展に寄与し続けています。

この度、「ERM構築/再構築・改善サービス」をご利用いただいた経緯やご感想について、リスク統括部長の山口 啓太 様、リスク統括部の生井 涼太郎 様にお話をうかがいました。

貴社の事業内容をお聞かせください。

リスク統括部長 山口 啓太 様
リスク統括部長
山口 啓太 様

山口:主な事業内容は、JR札幌駅に直結するJRタワーの運営・管理です。JRタワーは200以上の最先端ショップを有する「札幌ステラプレイス」、地下街の「アピア」のほか、展望室やオフィスなどもあり、多くのお客様にご愛顧いただいています。当社はJRタワーのディベロッパーとして、ショップのリーシングや、ショップの売上アップに向けたコンサルティングのほか、不動産賃貸や警備、清掃、保守、修繕まで多岐に渡るオペレーションを手掛けています。

近年は札幌駅周辺の開発が進み、当社を取り巻く環境も変化しています。例えば、北海道新幹線が札幌まで延伸することに伴い、駅周辺の大規模な再開発が進行中です。これにより、もともとJRタワーが抱えていた4館の商業施設のうち「パセオ」は2022年に営業終了、「エスタ」は2023年に閉店しました。今後は、旧エスタ・旧パセオの跡地に新たな商業施設が完成予定となっており、新たなかたちでの事業発展を見据えています。

既存の運用体制を見直し、新たにERMを構築

ERMに関するこれまでの取り組みをお聞かせください。

生井:周辺環境が変化する中で、当社は持続可能なJRタワーの運営を目指しています。そのためには、会社がERMを推進し、組織に浸透させることが必要不可欠であることから、中期経営計画に掲げる「経営基盤の再構築」に向け、「リスク管理の強化」に取り組みました。

当社はすでにリスク管理に関する規程・マニュアルを策定済みでしたが、リスクは発生した際に都度対応するというかたちにとどまっていたため、経営基盤の強化のためにもERM体制を構築することにしました。社内だけではリソースとノウハウの両面で限界があると感じ、リスクマネジメント専門のコンサルティング会社から支援を受けてプロジェクトを進めることにしたのです。

なぜ、ニュートン・コンサルティングを選ばれたのでしょうか。

山口:提案いただいたプロジェクト計画が明快で、体制構築へのプロセスがイメージしやすかったからです。また、トップインタビューの実施を提案していただいたこともニュートンさんを選んだ理由です。社長は、ERMや組織風土の改善に関して強い思いを持っていましたので、トップインタビューで社長の考えを明確化し、それを道標としてプロジェクトを推進するのが当社の状況に最適だと感じました。

トップインタビューとワークショップがERM再構築の鍵に

プロジェクト概要を教えてください。

生井:中期経営計画の一つである「経営基盤の再構築」を実現するために、本プロジェクトではERMの構築に取り組みました。重要視したのは、事業活動と連動した実効性のある取り組みにすることです。その実現のために、ニュートンさんの提案もあり、社長および取締役によるトップダウンでの取り組みを推進しました。まず、社長へのトップインタビューを実施。その結果「お客様や社員をはじめとするJRタワーの運営に関わる人々の生命と財産を守る」という使命を再確認し、「社員一人ひとりが、意識せずともリスクを考慮した行動を取れる状態」を目指すという明確なERM方針を確立しました。

次に、この方針に基づき、社長を含む取締役以上のメンバーが集結してワークショップを実施しました。全社で管理するべき重大リスクを選定し、各リスクのオーナーが具体的な対応策を策定。そして、これらの取り組みを単なる形式的なものに終わらせないために、社長や取締役をメンバーとした「リスク管理委員会」を立ち上げ、リスク対応の継続的な実施・改善を図ることにしました。

重大リスクが明確になり、経営層のコミュニケーションも活性化

今回のプロジェクトの成果はいかがでしたでしょうか。

リスク統括部 生井 涼太郎 様
リスク統括部
生井 涼太郎 様

生井:振り返ってみると、これまでERMの観点での議論はあまり実施できていなかったように思います。今回のプロジェクトをきっかけに、定期的なリスクコミュニケーションの場を設けることができました。また、ワークショップを通じて、経営層一人ひとりのリスク管理に対する考え方・課題感が可視化できたことも成果と捉えています。

洗い出した重大リスクは、「モニタリング対象リスク」と「日常管理リスク」という二種類のリスクに整理したのですが、一部リスクについては対応方針が明確でないことも発見されました。リスクオーナー同士で、それぞれのリスクを横断して見ることで気づきがあり、新たな発想にもつながっています。

ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか。

生井:当社は札幌市内にあり、ニュートンさんは東京を拠点としているので、オンラインでのコミュニケーションが主でしたが、コンサルタントの備酒さん・角田さんには二度のワークショップを含めて何度か当社にお越しいただきました。直接会えたことで距離感が縮まり、プロジェクトがさらに進めやすくなりましたね。

山口:プロジェクトが進む過程では、当社の状況や方針に変化も生じたのですが、どんな時も私たちの考え方を優先に考えてサポートしてくださいました。さらに、今後のためにERMの維持・改善のコツも快く教えていただいたほか、関連する資料も提供いただきました。これからもERMに関して、ニュートンさんに相談できたらと思っています。

今後の取り組みについて教えてください。

山口:今回のプロジェクトでERMの再構築フェーズを終えたので、現在は具体的な運用に向けて取り組みを始めています。引き続き、リスク管理委員会の会議で、重大リスクへの対応について議論しているところです。今後は各リスクオーナーを通じて各部署への周知・教育も強化する予定です。

本日は誠にありがとうございました。

※インタビュー内容および所属先は取材当時のものです。

お客様情報 (2025年5月現在)

名称 札幌駅総合開発株式会社
所在地 札幌市中央区北5条西2丁目5番地 JRタワーオフィスプラザさっぽろ
設立 2005年10月1日
※札幌駅南口開発株式会社(1997年設立)から称号変更
事業内容 店舗、事務所、倉庫等の不動産の賃貸業及び展望室、駐車場等の経営
建物、駐車場等の警備、清掃、保守、修繕等の管理業など
利用サービス ERM構築/再構築・改善サービス

担当の声

シニアコンサルタント 備酒 求

シニアコンサルタント

備酒 求

リスクという言葉を意識しなくてもリスクマネジメントが行えるようにしたい
~トップマネジメントが推進する、経営ツールとしてのERM活用事例~

「リスクアセスメントは行ったものの、リスク対応以降の活動がおざなりになってしまい、経営課題は残ったまま…」本記事をお読みのリスクマネジメント担当者の皆様も、このような悩みを感じているのではないでしょうか。

そんな悩みへの解決策を、札幌駅総合開発様のERM構築プロジェクトは示唆しています。ERM構築プロジェクトを終えてから現時点に至るまで、取締役以上の皆様全員が参加されるリスク管理委員会が毎月開催され、全社の重大リスクに関する課題と解決策の討議が行われています。いわば、経営の意思決定にERMが活用されているのです。これらを実現できた理由は、社長へのトップインタビューでいただいた「リスクという言葉を意識しなくてもリスクマネジメントが行えるようにしたい」というメッセージ実現に向け、社長、取締役、事務局がしっかりと時間を確保し、互いの意見も交えながら邁進いただいたことにあるといえます。

例えば、社長は今回のプロジェクトに積極的に参加し、プロジェクトをリードしていただきました。その結果、ワークショップ形式で行ったリスクアセスメントでは、社長だけでなく全取締役の皆様も自社の課題を忌憚なく発言いただき、活発な討議につながりました。

また、これらのプロセスで特定したリスクを管理するための仕組みを作成する上では、一般的な設計に則るのではなく、事務局の皆様が自社の組織風土を踏まえた素案を設計。社長、取締役の皆様のご意見も踏まえて素案をブラッシュアップし、最終化しました。

改めて、札幌駅総合開発様の事例は、ERMを「単なる仕組み」ではなく、「組織一体で推進する活動」と捉えて取り組むことの有効性を示しているのではないでしょうか。

今後大きな事業環境の変化が想定される、札幌駅総合開発の皆様。こうした環境下での経営判断を支えるERM構築をご支援できたことを誇りに思うと共に、今後の事業発展が楽しみでなりません。

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