個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しについて、検討会の報告書を公表 個人情報保護委員会

掲載:2025年01月17日

サイバー速報

         
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個人情報保護委員会はこのほど、個人情報保護法の「いわゆる3年ごと見直し」について、検討会の報告書を公表しました。

今般開かれた検討会では、中間整理において、事業者・個人それぞれに与える影響が大きい論点だとされた、課徴金と団体による差止請求制度・被害回復制度が検討事項となりました。

課徴金制度について主な論点となったのは、(1)課徴金制度の立法事実、(2)適正なデータ利活用への影響、(3)国内他法令の課徴金制度との関係、(4)外国制度との関係、(5)想定される制度の5点です。例えば(1)に関しては、課徴金制度を検討する立法事実があるかという点に対し、「課徴金制度がないゆえに法目的が果たされないことが明らかになっておらず、立法事実が十分に示されていない」、「現行制度の監督規定(勧告・命令・刑事罰など)をまず最大限に活用すべき」などの意見が挙がったとされています。

団体による差止請求および被害回復制度については、(1)適格消費者団体の現状と他法令の運用、(2)認定個人情報保護団体との関係、(3)想定される制度の3点が主な論点となりました。例えば(3)について、差止請求権は、不特定多数の消費者の被害未然防止・拡大防止を目的として付与するもので、対象となる事例としては、プライバシーポリシーなどを利用して、不特定多数の個人データを本人の同意なく第三者に提供する場合などが想定されています。これに対し、「差止請求権に対応することで規約が明確化され、消費者の誤解を減らすという利点があるだけでなく、事業者への信頼を高めることにもつながる」といった賛成意見のほか、「事業者にとって負担が大きいのではないか」、「法の観点での事実確認は難しく、消費者団体の業務としてなじむのか」といった懸念の声もあったとされています。

委員会は、本報告書に記載された内容や、これまでの検討会での議論を踏まえ、いわゆる3年ごと見直しについて今後の検討を進めていくと記されています。また、消費者と事業者のコミュニケーション促進や信頼強化、業界の実情といった論点ついても考慮することが期待されると述べました。