ディープフェイク
掲載:2022年08月22日
執筆者:ニュートン・コンサルティング 編集部
用語集
ディープフェイクとは、機械学習アルゴリズムであるディープラーニング(深層学習)を使用して画像や動画の一部を交換させる技術を指します。
現在ではより広義の意味合いで用いられるようになり、フェイク(偽物)の画像や動画全般を指すものとして使用されることが多くなっています。
近年では技術の高度化により本物との判別が難しいフェイクが多く生み出されており、フェイクポルノやなりすましなど、ディープフェイクの悪用は深刻な問題となっています。
ディープフェイクの悪用問題が世界的に注目されることになったきっかけとして、2017年に「ディープフェイクス」というハンドルネームにより有名女優の顔を使用したフェイクポルノが複数投稿されたことが挙げられます。
その後もオバマ元米大統領やマーク・ザッカーバーグ氏のフェイク動画などが注目され、2022年3月にはウクライナのゼレンスキー大統領の姿を使用して国民に降伏を呼びかけるというフェイク動画が拡散され、大統領自身がこれを否定しました。
ディープフェイクの悪用は有名人の姿を使用するものにとどまりません。
2022年6月、FBIは企業におけるリモートワーク職の応募にディープフェイクや他人の個人情報が利用されているとの警告を発し、悪意のある人物が内部データ取得のために姿を偽り、社内に侵入しようとした可能性を示唆しています。
昨今の高度なディープフェイクに使用されている技術として、GAN(Generative Adversarial Network)があります。
GANは「敵対的生成ネットワーク」とも呼ばれ、生成ネットワーク(Generator)が偽データを作り出し、それを識別ネットワーク(Discriminator)が本物であるかどうか判定するというプロセスを繰り返すことで、より本物に近いフェイクを作成できる仕組みです。
また、現在ではスマホ用アプリ「Xpression」やPC用アプリ「Deepfakes web β」などを使用して、手軽にディープフェイク動画を作成することも可能です。
ディープフェイクが進化する中、2022年4月には、東京大学大学院情報理工学系研究科が“世界最高性能”を持つディープフェイク検出AIを開発したと発表しました。研究チームは今後も検出の精度向上を目指すとしています。
映像作品のアクションシーンや吹き替え、バーチャルタレントなど、エンターテインメントの分野を中心に活用が期待されるディープフェイクですが、悪用のリスクを踏まえ、正しい知識を持って使用することが求められています。