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業種別BCP: 医療・福祉

医療

業種の特徴
医療業界とは、主に病院などの医療機関、医薬品業界、医療機器業界をさしていますが、ここでは医療機関(病院)について言及していきます。病院には外来診察室、入院設備、手術室、検査室、リハビリ室やMRI、CTなどの検査機器等、様々な設備・機器類が必要とされます。人員は医師、看護師、薬剤師、技師、療法士、栄養士、介護士等と他業種にはない複数の職種で形成されています。業務は、平日の通常診療や休日夜間の救急診療、災害発生時の災害医療等多岐に渡り、人の健康や命に係わる業務として緊急性が求められることも多くあります。また、医療法、医師法、薬事法等複数の法律や規制が関係していることも特徴の一つになります。
BCPの役割
災害発生直後には、多くの負傷者発生し、医療機関による治療を求められる絶対数が増大することが想定されます。その災害医療対応に加え、入院患者への診療の継続も求められます。災害による負傷者の対応は、災害医療の領域になり医療従事者はその体制・役割や訓練を実施している病院が多いですが、緊急事態においても、入院患者の診療継続や薬を紛失した外来患者も処方の対応も必要になります。また、一時の猶予も許されない患者のために、平時から設備・人的資源の代替策の準備も必要とされます。
BCPのキーポイント
災害発生時には人員不足、施設インフラ(電力・水・ガス・通信)の喪失、医薬品・医療機器の供給停止を想定し負傷者受け入れの検討が必要です。入院患者の診療継続を検討する際、同様の被災想定下で生命維持のためにしなくてはいけない必要最低限の業務、一時中断しても速やかに再開する業務、災害時、積極的に中断出来る業務に分けてそれぞれの対策の検討が必要です。また、1病院での負傷者対応には限りがあるため、近隣医療機関、市区町村、医師会、薬剤師会、消防、自衛隊等との連携も重要な検討項目になります。

福祉

業種の特徴
福祉の分野は、高齢者、未成年者、要介護者などの介護の分野と、経済困窮者などに対して生活の質を保証するものに大別され、ここでは、介護について言及します。介護サービスとは、介護が必要になった方が、住み慣れた地域や自宅で自立できるようになるために、介護サービスを提供する業種になります。サービスには、家事援助、デイサービス、宿泊、それらを組み合わせて受けられるサービス、福祉用具の提供を受けられるサービス等があります。サービスを提供するために宿泊施設等が必要とされ、その他の経営資源としては介護職であるケアワーカー、ケアスタッフ、介護職員、介助員等人的資源が中心になります。
BCPの役割
災害時の役割は大きく4つあります。1つ目は利用者の確実な安全確保と安否確認の履行です。災害直後に利用者の安全確保と安否確認を実施し、訪問・通所の利用者についても安否確認が重要になります。2つ目は介護サービスの継続です。宿泊施設は生活の場ですので利用者の食事や入浴、排せつ等の介助も人員不足、停電、ガスの停止の中で継続する必要があります。3つ目は利用者の家族とのコミュニケーションです。家族へ利用者の安否報告や介護サービスの中断・再開の通知も必要になります。4つ目には、災害時の求めに応じた近隣要介護者の受け入れになります。行政からの依頼で災害時に近隣在住の要介護者受け入れの協定を締結している施設は受入場所の提供も人員不足や停電の中で実施する必要があります。
BCPのキーポイント
利用者の安否確認では、同じ要介護者でも介護度や独居等の状況を加味した安否確認の優先順位を検討しておく必要があります。インフラの被災想定を厳しめに考えておくと同時に、その際の受け入れ可能人数や介護対応可能人数など、自分たちの対応能力の限界を明確にしておくこともポイントのひとつです。また、厳しめのインフラの被災想定下、かつ、そのときの自分たちの対応能力の範囲内で、いかに先に挙げたBCPの役割(安否確認、介護業務の継続、親族とのコミュニケーション、近隣要介護者の受入)を実現するかを考え、行動計画に落としておくことがポイントになります。

お客様事例

取引実績

  • 東京都社会福祉協議会