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JQAがBS25999のプライベート認証サービスをスタート

掲載:2009年02月23日

執筆者:取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介

コラム

2009年2月に、財団法人日本品質保証機構(JQA)が、BS25999(事業継続マネジメントの英国規格)のプライベート認証サービスをスタートさせました。

BS25999(事業継続マネジメントの英国規格)のプライベート認証サービス

『プライベート認証』とは、認定機関から「ある規格(今回の場合は、BS25999)」について、「正式な認定を受けていない審査会社」が、自分たち独自の手順で審査を行い、認証を行うことを意味します。「正式な認定を受けていない審査会社」に対して「正式な認定をうけている審査会社」とは、国際的に信頼のある認定機関(JABやJIPDEC、UKASなど)から、「あなたの組織(審査会社)は、BS25999について、広く認める適切な手法に基づいて、クオリティある審査ができる組織ですよ」と、いわゆる”お墨付き”をもらっている会社のことを指します。

ただし、審査会社において実際に十分な審査準備が整っていたとしても(その場合が多いと思われますが)、認定機関から”お墨付き”をもらうまでのプロセスは長いため、正式な認定を受ける前に”見切り発車的(いずれ正式な認定はもらえるだろうという想定の下)”に、(早く第三者認証を受けたがっているお客様の期待に迅速に応えるために)認証サービスをスタートさせることが少なくありません。これが『プライベート認証』と呼ばれるものです。『プライベート認証』であったとしても、通常は、その審査を行なった審査会社(今回の場合は、JQA)が、順当に認定機関から”お墨付き”をもらえた時点で、顧客の認証も、”ほぼ”自動的に『正式認証』に切り替えられることが一般的です。また、通常は、プライベート認証の方が認証費用が安くなるというメリットもあります。

2009年2月現在、正式審査を行える認証機関(認定機関から”お墨付き”をもらっている審査機関)は、日本ではBSIマネジメントシステムジャパン株式会社(イギリスの認定機関UKASによる認定を受けています)のみです。プライベート認証を提供している審査機関は、JQAのほか、SGSジャパン株式会社、ビューロベリタスジャパンなどになります。

ちなみに、日本において審査機関を審査する立場にある代表的な認定機関はJAB(日本適合性認定協会)およびJIPDEC(日本情報処理開発協会)ですが、これらの認定機関では、実はまだBS25999を使った認定サービスをスタートさせていません。このため、現在の日本で審査機関が第三者から正式な”お墨付き”をもらいたい場合には、他の国の認定機関(たとえば、イギリスのUKASなどは世界的にも有名な認定機関)を活用する必要があります。日本では、「BCMS適合性評価制度」という名前での正式な認定サービスが、2009年7月からスタートされる予定です。

今回、知名度の高い審査機関の1つであるJQAが、BS25999(事業継続マネジメント)の審査を開始したということは、社会的な「事業継続マネジメント(BCM)」への関心の高まりが強まっていることを示していると思われます。また、前述したように、2009年7月から日本の認定機関であるJIPDECがBS25999を使った認証制度をスタートさせる予定であることからも、いよいよますます、日本の企業はBCMを取り巻く動きから目を離せない、ということができるのかもしれません。
参考文献
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