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コラム

特定分野においても低いBCPの策定率 内閣府調査

2009年07月31日

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント

勝俣 良介

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介

BCPの策定率が18%という低い数字に

内閣府は2009年7月14日、「特定分野における事業継続に関する実態調査」の調査結果を発表しました。調査は以下に該当する非常に公共性が高く、災害時の早期復旧が求められる企業・団体に的を絞った実態調査(2009年2月~3月)で、それによると、医療施設や鉄道など早期の復旧が求められる企業・団体でも事業継続計画(BCP)の策定率が18%にとどまることが分かりました。

【今回の調査対象となった組織・団体】(対象4,321社/団体、うち2,006社/団体が回答)
  • 防災・事業継続の観点から国民の関心の高い主体
    (医療施設、福祉施設、銀行・地域金融機関、証券、電気、通信、ガス、非常電源用燃料供給、運輸施設、鉄道、包装)
  • 指定公共機関
  • 指定地法公共機関

ライフライン関係の業界で求められる改善

調査対象となった企業・団体の中で目を引いたのが、ライフライン関係の業界の策定率の低さです。電気、通信では36.4%、27.6%という数値でしたが、ガスや鉄道など極めて公共性が高い業種で18%以下と、思いのほか低い結果となっています。逆にBCPの策定率が高かったのは証券会社(77.4%)、続いて銀行・地域金融機関(36.5%)でした。

これらの企業・団体がBCPを策定した理由は、「法律と社会的責任から」、「業界団体の要請」、「国のガイドライン」、「業界団体主催の講習会」などが挙げられており、様々な環境要因から策定に取りまれていることが伺えます

一方で、BCPを策定していない・できない理由としては、「構築のノウハウスキルがない」「バックアップシステム構築が難しい」「策定の人手を確保できない」「部署間の連携が難しい」などが挙げられており、企業・団体内の抱える問題も浮き彫りになりました。

これを受けて内閣府は「関係省庁とともに原因を分析し、策定を働きかける」としています。

国の支援制度の制定を

証券会社においてBCP策定率が極めて高いという結果が出たのは、ニューヨーク・テロの影響もあって、業界的な圧力が高かったことに起因していると思われます。証券業界では業界としてガイドラインを制定し、企業に策定に呼びかけています。

しかし、策定が進まない大きな理由の1つとして、ノウハウ不足や要員不足が挙げられていますが、BCP策定にあたっては広範な知識が必要なことを考えると、これは難しい問題であると言わざるを得ません。BCP策定にあたっては、組織の「事業」を構成する要素1つ1つの役割や位置づけを理解した上で、適切に分析をおこなったり、それに基づいた戦略を策定する必要があるためです。組織は、外部リソースの積極的な活用を考えるだけではなく、より積極的に社内においてプロジェクトを牽引する役割を担う人材の育成機会を設ける努力をすることが重要です。

今回の調査対象企業・団体は、いずれもBCPを持つことが切に望まれる非常に重要な組織ばかりです。こういった組織においてBCPの策定率を高めていくためには、政府のより積極果敢な活動が必要でしょう。たとえば、災害対策基本法のような法規制化を進めたり、組織にBCP策定のための人材を育てるゆとりを持たせるため、策定を考えている企業へ無償の人材教育制度を設けたりするなど、企業・組織が策定に乗り出せない課題を検証し、支援する制度が求められます。

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