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厚労省、BCPの強毒型新型インフル版を発表

掲載:2010年04月19日

執筆者:取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介

コラム

2010年4月14日、厚生労働省は、国民の生命や健康維持を所管する政府機関として、まずは自身が不測の事態に耐えうる体制を整備することを目的に「厚生労働省業務継続計画(強毒型新型インフルエンザ編:第1版)」を策定したことを発表しました。なお、これは昨年の8月に内閣官房が発表した「新型インフルエンザ対応中央省庁業務継続計画ガイドライン」にもとづくものですが、厚生労働省を入れて、これで9省庁がBCPの策定を完了したことになります。

         

業務継続計画整備済みの省庁

経済産業省(2009年12月)
消防庁
警察庁
国土交通省
総務省
外務省(2010年1月)
海上保安庁(2010年3月)
文部科学省・文化庁
厚生労働省(2010年3月)

ちなみに、新型インフルエンザ対策の中枢を担う厚生労働省におけるBCPが策定されるまでに、約半年という比較的長い期間を要したのは、地方自治体からの意見を反映するために、他省庁よりも時間がかかったということのようです。

想定リスクは、最大欠勤率60%

本BCPは2008年7月30日に厚生労働省が発表した「新型インフルエンザ発生時の社会経済状況の想定」を前提に策定されています。この想定では、主として以下のような社会的影響が考慮されています。
  • 罹患率:全人口の25%
  • 医療機関の受診者:1,300~2,500万人
  • 最大職員の40%程度が欠勤
  • 死亡者17~64万人
  • 流行の波2ヶ月(この波が2~3回繰り返す)

業務を4分類した対応方針を策定

厚生労働省は今回、全62業務のうち19業務を除く、42業務について「一般継続業務(13業務)」「縮小業務(16業務)」「中断業務(14業務)」の3つに分類しました。さらに、この3つに災害時に発生する業務、つまり「新型インフルエンザ対策業務」を加え、全部で業務を4分類するアプローチをとっています。

なお「一般継続業務」には、主として「インフル以外の疾病に関わる医療の提供」や「年金、失業給付、生活保護など国民の生活基盤となる給付、失業者に対する雇用対策」に関わるものが分類されています。また「縮小業務」には、「中長期的な施策の検討など、延期できるもの(企画・立案など)」や「事前の連絡調整により縮小可能なもの」が分類されています。

各省庁のBCPを見比べながら、自社の参考にするのがベスト

内閣官房が出した「新型インフルエンザ対応中央省庁業務継続計画ガイドライン」を参考に策定されたBCPであることから、そのアプローチ方法については、厚生労働省のものが、特に他省庁のものと大きく変わるものではありません。

したがって、一般企業においておおよそ、どのような内容をBCPに盛り込めば良いかについては、いずれかの省庁のBCPを参考にすれば十分です。一方、業務の優先順位付けや、それに基づく対応方針など、具体的な中身については、そもそも各省庁で取り扱う業務が異なるため、各省庁の特色があらわれるところです。特に、消防庁や警察庁、そして、厚生労働省のBCPでは、具体的にどの業務がどういった分類をされたか、より詳しい情報を掲載していますので、参考にすると良いでしょう。

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