9月6日に中央防災会議より「首都圏大規模水害対策大綱」が発表されました。
この大綱は2010年に公表された「首都圏における大規模水害対策に関する最終報告書」において最終課題となっていた、国と地方、官と民の責任と役割分担を明確にしたものになります。よって、被害想定や対策方針については2010年発表時からの大きな修正はありません。詳しい被災想定をご覧になりたい場合は、参考リンクのニュース記事および最終報告書(本文)をご参照ください。
一方で、東日本大震災で発生した課題や教訓は大規模水害対策にも有効なものであるため、震災後に発足した「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」の報告書や、被災地方公共団体等の意見も踏まえてとりまとめられています。
水害対策BCP策定のススメ
本大綱で企業の取り組みに係る箇所は「第3章 住民、企業等における大規模水害対応力の強化」の「3. 民間企業等の被害軽減対策の強化」が該当します。企業には引き続き、優先度の高い業務の継続性を確保するための体制の整備や実施方法、手順等を検討が求められています。
ちなみに、大規模水害発生時における業務継続力向上のための対策としては、次の4点が挙げられています。
- データ等のバックアップ対策の強化
- 重要データ、書類等の上層階等への搬送体制の確保による被災回避
- 電力等のライフライン途絶時の代替手段の確保
- 浸水防止対策等の実施
災害対策としてはどうしても地震がクローズアップされがちですが、海沿い、川沿いなど浸水の危険性がある事業所においてはこれらの水害対策も念頭に入れての取り組みも必要といえるでしょう。
当該大綱を策定した「大規模水害対策に関する専門調査会」の今後の活動としては、短期/中期/長期の実現目標を示したロードマップの策定や、水害時における政府の広域的活動の手続、内容等を具体化した「大規模水害応急対策活動要領(仮称)」の策定が予定されています。