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生体認証に関する精度評価方法の国際規格「ISO/IEC 5152」が発行、従来の3分の1のサンプル数で精度評価が可能に 経産省

掲載:2024年07月29日

リスクマネジメント速報

         
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経済産業省は7月17日、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)において、日本が提案した生体認証精度評価方法に関する規格が今年7月に発行されたと発表しました。同省によると、新規格は少ないサンプル数で評価できる新しい生体認証精度評価方法であり、導入によって生体認証装置の性能に関する改善サイクルを従来よりも短縮できるとして期待されています。

発行された国際規格は「ISO/IEC 5152:2024 Information technology - Biometric performance estimation methodologies using statistical models(情報技術-統計モデルを用いた生体認証精度評価方法)」(以下、ISO/IEC 5152)です。

顔や指紋、静脈、虹彩などを利用した生体認証が広く普及しました。一方、生体認証の精度評価には膨大な数の生体サンプルが必要であり、精度を高くしようとすればするほどサンプルが必要となるため、精度改善のボトルネックになっていました。新規格のISO/IEC 5152では、生体認証の精度評価に必要とされるサンプル数を3分の1以下に低減することが可能と解説されています。

具体的には、生体認証の精度評価に、稀にしか起こらない事象の出現確率を推定する極値統計を利用して「他人受入率」や「本人拒否率」の評価を行う方法を適用するものだと説明しています。従来の精度評価方法の国際規格「ISO/IEC 19795-1」では、誤照合率0.00001%(1000万分の1)の評価に必要なサンプル数が7,746以上でした。一方、新規格のISO/IEC 5152では2,450のサンプル数で1000万分の1の性能を推定することが可能になります。

新規格のISO/IEC 5152は、必要なサンプル数が減って負担が軽減するため、より精度の高い生体認証装置の登場につながると期待されています。