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LPガス災害対策マニュアル

掲載:2014年03月12日

ガイドライン

LPガス災害対策マニュアルは、LPガスをとりまくステークホルダー・・・とりわけ、LPガスの販売事業者が災害に備えて平時から行っておくこと、または、有事に行うことが望ましい活動について紹介したマニュアルです。平成25年3月に経済産業省並びに高圧ガス保安協会から発行されました。なお、従来から「LPガス消費者地震対策マニュアル」というものが存在していましたが、本マニュアルはこれに東日本大震災からの学びを反映した、いわば続編とも言うべきものです。

         

LPガス災害対策マニュアルの構成

本マニュアルは、55ページの本編と59ページの資料編で構成されています。本編前半ではLPガス供給設備に対する防災対策について、後半では災害対策のための体制の整備と、平時及び災害時に行うべき活動について、解説しています(下表参照)。

【本編】
概要
第Ⅰ部
LPガス設備の災害対策強化
1章
LPガス販売事業所における安全対策
LPガス販売事業者が、事業所において実施することが望ましい一般的な対策について、簡潔に記載されています。
2章
一般消費者等における安全対策
LPガス一般消費者の敷地内にある供給設備(容器、ガスメータ、供給管等)に対する具体的な防災対策について、図や写真を交えて詳細に解説されています。主にLPガス販売事業者の保安技術者が参照することを想定しているため、かなり専門的な内容となっています。
第Ⅱ部
LPガス災害対策に係る体制整備
1章
組織の編成等
大規模な災害の発生した場合、LPガス販売事業者単体では対策に限界があることを考慮し、地域全体で災害対策に取り組めるような組織の在り方について、例を交えて説明しています。また、災害に備え、LPガス販売事業者やLPガス協会等が平時から取り組むべき対策と、災害発生後の活動について主なものが列挙されています。
2章
LPガス販売事業者等の防災体制・災害対策
LPガス販売事業者が平時に取り組むべき対策と災害発生後の活動について、前章に挙がっている事項を中心に、詳細に解説しています。特に災害発生時から復旧体制に移行するまでの行動基準と行動内容が表で整理されており、災害発生後の活動が容易に把握できるよう配慮されています。
3章
都道府県LPガス協会等の防災体制・災害対策
都道府県LPガス協会が平時に取り組むべき対策について、1章で挙げられた事項を中心に解説しています。特に、個々のLPガス販売事業者では対応が難しい以下の二つの取り組みについて、具体例を交えて解説されています。
・地域内の協力体制の整備
・災害発生直後の二次災害防止を目的とした、供給設備の一斉点検・調査を実施するルールの整備
4章
一般消費者等における防災対策
LPガスの一般消費者が日頃行うべき防災対策と災害発生後の行動について、箇条書きでまとめられています。なおLPガス販売事業者が、自社の顧客に対し、防災に関する啓発を行う項目を整理する際にも活用できます。
5章
LPガスの応急供給に関する対策
避難所や仮設住宅等へのLPガスの臨時供給について円滑に対応できるよう、LPガス販売事業者とLPガス協会が平時に取り組んでおくことが望ましい事項を中心に説明しています。
【資料編】

主に本編の内容を補足することを目的とした、40種類の資料が用意されています。その内訳は、供給設備の防災対策例や愛知県LPガス協会の災害対策要綱、都道府県のLPガス協会が災害時に使用することを想定した様式等が収録されています。

多様なステークホルダーを対象とした「参考書」

本マニュアルの特徴は大きく2つあります。1つ目の特徴は、その狙いにあります。多くのマニュアルが、BCP策定の手引き書となることを目的としている中で、本書はあくまでも参考書になることを目的としています。そして2つ目の特徴は、前出の章構成からもおわかりいただけますように、本マニュアルがLPガス販売事業者のみならず、LPガスの消費者をはじめ、LPガス協会など多様なステークホルダーを対象にしていることです。

BCPを策定する際の補完的な資料として利用する

「参考書」と述べましたが、本マニュアルはBCPを策定する際の補完的な資料として利用することが望ましいでしょう。特に、LPガス販売事業者においてBCPを策定される際には、ISO22301や内閣府事業継続ガイドラインなど一般的な規準やガイドラインを参考にしつつ策定をすすめ、その上でLPガス事業者特有の対策について本マニュアルを参考にされることをお勧めします。最後に、以下にBCPを策定する際の本マニュアルの活用ポイントについて詳述しておきます。

【本編第Ⅰ部】

1章は、事業所における基本的な防災対策がまとめられています。自社の防災対策が十分かを確認したい場合に活用できます。2章では、LPガス供給設備(容器や供給管等)に対する、地震や水害による被害を防止するための措置(容器の転倒防止策等)についてまとめられています。巨大地震の発生可能性が高い地域のLPガス販売事業者は、自社の取り組み状況の確認のために少なくとも一回は目を通すことをお勧めします。

【本編第Ⅱ部】

1章、2章、5章は、LPガス販売事業者の災害対策に関する平時及び災害時の活動について、具体例を交えて説明されていますので、参考にされることを強くお勧めします。特に第2章は、大規模災害が発生した際に社会インフラを担う事業者として実施すべき3つの活動について解説しており、初動対応手順や人員等の振り分けを検討しつつ、BCPの中に活動要領を盛り込んでいくことが望ましいと思われます。

ちなみに、これら具体的な活動内容については、以下の箇所によくまとまっています。また、資料編には緊急対応及び応急点検を行う際に活用できる様式が添付されているので、併せて参照することをお勧めします(資料5-11~5-13)。

2-1(5)「LPガス設備の点検・復旧体制の整備」
各活動の行動要領及び事前に整備しておくことが望ましい事項について説明
2-2 「LPガス販売事業者等の災害発生後の活動」
災害発生後の活動について時系列で説明

【資料編】

とりわけ以下の資料は、災害対策に関する取り組み例をまとめた資料やBCPの補足資料としてそのまま活用できる様式ですので、BCPを策定するにあたっては、事前の対策や災害時に使用する様式等を検討する際の参考資料として活用することをお勧めします。
資料番号 資料名
資料2 都道府県LPガス協会の主な災害対策
資料3 充填所における容器の転倒防止・流出防止
資料5-7 公共放送機関への依頼文書
資料5-8
資料5-11 LPガス(プロパンバス)をお使いの方へ(お願い)
資料5-12 安全点検票例
資料5-13 消費者への設備改善のお願い
資料6-2 LPガス被災状況報告書 販売事業者用
資料7 地震(震度5強以上)等被害速報
資料8-1 緊急通行車両等届出書類 例
資料8-2
資料10 容器保管報告書
資料11 流出容器事例
資料12 流出容器回収事例
資料13 地震時の対応の周知例、マイコンメータ復帰方法の周知例
資料15 都道府県LPガス協会連絡先
資料17 経済産業省LPガス保安行政機関連絡先
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