事例紹介: 株式会社大王製作所

株式会社大王製作所 代表取締役社長 田代 肇氏

事業所間の連携で
アクセサリー製造卸事業を継続

株式会社大王製作所 ロゴ

代表取締役社長 田代 肇氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 製造業

-事業内容を教えてください。

当社は創業52年目を迎え、人と自然にやさしい商品の提供と活動を目指し、アクセサリー雑貨の製造卸を行っています。手芸・クラフトや鞄袋物関係の業者向けにキーホルダー、携帯ストラップ、アクセサリーパーツ製品などを、全国の観光地や神社仏閣向けに縁起物や根付紐、お守りなどを、また、販促品・OEM製造向けにはキャラクターグッズ、コンサートグッズ、雑誌の付録などを納入しております。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

防災対策については、ISO14001を認証取得する際に、緊急事態の準備及び対応ということで、文書化した経緯があるものの、環境に影響を与える可能性のあるものに限定されたものでした。またこれとは別に毎年「安全の日」を設けて、全社で1時間ほどの労働安全に関する研修を実施するくらいでした。

今回BCPの策定に取り組もうと思った最大の理由は2011年3月11日に発生した東日本大震災の際、社員への避難指示、安全確保が適切にできず、さらには社外にいた社員の安否確認に半日を要したことでした。経営者として最低限守るべき「社員の安全への配慮」に欠けていたことを大変恥ずかしく思っていた矢先に、東京都BCP策定支援事業のことを知り、即日取り組むことに決めました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

当社は製造拠点を日本国内と中国に持ち、ここで製造されたものを三郷事業所に搬入してから、必要な場合は2次加工を施し、出荷しています。また東京本社には各種サーバが集中的に配置され、ここから中国も含めた各拠点と結び付いています。

以前は人の安全ばかりに目を奪われ、とにかく社員(経営資源でいうところの「人」)が安全でいてくれればとの思いがありました。しかし、コンサルタントの指導のもと、詳細に分析を続けていくうちに、実は経営資源である「情報」が最も脆弱であり、しかも広範囲に影響を及ぼすことがわかりました。
今回の被災シナリオでは、東京本社と三郷事業所が被害を受ける想定ですので、製品の搬入は大阪営業所に振りかえ、必要な場合は大阪で2次加工し、出荷するようにします。並行して、これらの受注案件を管理するためのサーバ機能も東京から大阪へ切り替えることによって、目標の復旧指標を達成するようにします。そして三郷事業所が立ち上がった後に、大阪営業所で受け入れていた業務を三郷へ移行し、東京のサーバ機能が回復した後に、再度、大阪から東京へ切り替えるようにします。

対象事業アクセサリー雑貨製造卸
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・東京…震度6強、三郷…震度6弱
・東京本社半壊、サーバ全損、情報資産全損
・三郷事業所、PC半損
対策・避難訓練、防災教育の実施
・バックアップデータの保管場所の検討
・合機のキャスターの固定
・バックアップサーバの切替
・大阪営業所への営業拠点の切替
・大阪営業所への製造拠点の切替

-何か新たな気付きはありましたか?

我々中小企業といえども、企業活動はいつのまにかすべてITの上に築かれています。それにもかかわらず、中小企業のそれは、大企業とは違って現状の業務遂行に必要最低限のハードとソフトで構成されており、必要十分なシステムの可用性確保やデータ保護など皆無の状態でした。

事業継続策としては「システムを多重化して止めない」というのが、ベストではありますが、中小企業ではコストや人、運用面の課題もあり、むしろ目標期間内に業務を早期再開するように、代替機を使用した「復旧・リカバリ」に焦点をあて、ベターな方式で考えることが重要であり、結果として顧客の信頼へとつながるものと悟りました。

-BCPを策定した感想をお願いします。

BCPを策定しても、「作って終わり」にしてしまう失敗パターンもあると聞き、なるほどと思いました。当社もISO9001やISO14001の認証取得のため、一生懸命にマニュアルを作成し、継続的改善が肝要だと肝に銘じて活動をしているつもりですが、気がつくと惰性的な活動に陥っていることがあるからです。いざというとき、BCPを機能させるためには、計画通りに動けるか、日頃から演習やテストを繰り返し、問題点があれば計画に反映していくPDCAの取組が不可欠。「BCPは作って終わりではない。その後の演習・テスト、継続的改善が大切だ」と肝に銘じて、今度こそは効果的なものにしていきたいと思います。

株式会社大王製作所 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役社長田代 肇 氏
取締役西野 武 氏
製造部 課長補高橋 和男 氏
開発部 係長鈴木 雅晴 氏
総務部 係長加藤 雄亮 氏
総務部堂坂真梨絵 氏
営業一課岸波 誠 氏
会社情報
称号: 株式会社大王製作所
本社所在地: 東京都台東区日本堤2-11-6
設立: 1961年3月
資本金: 1億2,000万円
従業員数: 32人
代表者: 代表取締役社長 田代肇
事業内容: アクセサリー雑貨製造卸
URL: http://www.daiomfg.co.jp

(2012年3月末日現在)

当社のWebサイトでは、サイト閲覧時の利便性やサイト運用および分析のため、Cookieを使用しています。こちらで同意をして閉じるか、Cookieを無効化せずに当サイトを継続してご利用いただくことにより、当社のプライバシーポリシーに同意いただいたものとみなされます。
同意して閉じる