生成AI関連市場の実態調査を開始、ディスカッションペーパーを公表し情報・意見を募る 公取委
掲載:2024年10月07日
サイバー速報
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生成AIを健全な形で経済社会に実装させる観点から公正取引委員会は10月2日、生成AI関連市場の実態を把握するための調査を開始すると発表しました。同日付けの事務総長定例会見記録によると、来春ごろに調査結果を公表することを目指しています。さらに、想定される独占禁止法・競争政策上の論点を取り上げたディスカッションペーパー「生成AIを巡る競争」を公表し、AI関連市場の事業者や団体、個人などから広く情報・意見を募りました。情報・意見の提出期限は11月22日まで。
ディスカッションペーパーの主な柱は「生成AI関連市場の市場構造」と「生成AIを巡る独占禁止法・競争政策上の論点」の二つです。それぞれに情報および意見を求める設問項目がいくつか用意されており、それに回答するための提出用ファイル(ワードフォーマット)も用意されています。
生成AI関連の市場構造では、3つのレイヤー(インフラストラクチャー▽モデル▽アプリケーション)に整理した上で、レイヤーごとに生成AI関連市場の現時点における状況を事実関係としてまとめています。設問はまず、示した事実関係について、補足があるか尋ねています。次に、例えばインフラストラクチャーのレイヤーで計算資源(GPU等)に関する項目では、事業者が生成AI向けの半導体チップを開発・入手する上でボトルネックはあるか▽半導体チップ市場における公正かつ自由な競争を維持・促進していく上で、課題は何か――といった内容を尋ねています。
他方、生成AIを巡る独占禁止法・競争政策上の論点では、取引やデータアクセスの制限・他社の排除▽自社の優遇▽抱き合わせ▽協調した価格設定(並行行為)▽企業連携による人材の囲い込み――の5つが挙げられています。例えばGPU市場では1社で約8割の市場シェアを持っていたり、クラウドサービスでは大手企業数社で市場シェアの大半を占めていたりして、一部の大手企業が有力な地位を有しています。この状況下でアクセス制限や他社排除が行われると新規参入の機会が失われるなど、競争に影響を及ぼす可能性があるとして情報や意見を募っています。
なお、公正取引委員会は公表したディスカッションペーパーの論点について「現時点で問題を示しているものではなく、何ら結論に予断を与えるものではない」と記しています。
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