サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた提言を取りまとめ 政府有識者会議
掲載:2025年01月06日
サイバー速報
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政府有識者会議はこのほど、サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた提言を取りまとめました。本会議は、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させるため、新たな取り組み実現に必要な法制度の整備などについて検討するもので、2024年6月から全4回にわたって開催されました。
公表された提言書では、実現すべき具体的な方向性として(1)官民連携の強化、(2)通信情報の利用、(3)アクセス・無害化、(4)横断的課題の4つが示されています。
(1)官民連携の強化では、国家をも取り巻く高度化したサイバー攻撃への懸念拡大やDXの進展を踏まえ、官・民いずれかのみではサイバーセキュリティを確保することは困難だと述べました。そのうえで、産業界をサイバー安全保障政策の「顧客」として位置づけ、政府が率先して情報提供を行い、官民相互での情報共有を促進すべきだとしています。
(2)通信情報の利用では、先進主要国が国家安全保障の観点から、事前に対象を特定せずに通信情報を収集・分析していることを受け、我が国でも一定の条件下で通信情報の利用を検討すべきだとしました。特に国外が関係する通信は分析の必要性が高いと考えられています。
(3)アクセス・無害化では、▽危険の認知が困難である▽意図次第でいつでも攻撃可能▽被害が瞬時に拡散する可能性がある、といったサイバー攻撃の特徴を踏まえ、被害防止を目的としたアクセスや無害化を行えるようにすべきだとされました。この権限行使の主体は、まずは警察であり、公共の秩序維持の観点で特に必要な場合は自衛隊が加わって、武力行使事態に至る前から、国をシームレスに守る制度であるべきだと記載されています。
(4)横断的課題では、平時からの対策強化・備えが重要だとし、サイバーセキュリティ戦略本部の構成などの見直し、セキュリティ水準の定期的な見直し、人材育成・確保などを進めるべきだと述べられました。