企業の45%が生成AIを利用、「企業IT利活用動向調査2025」結果を公表 JIPDEC/ITR
日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は3月14日、株式会社アイ・ティ・アール(ITR)と共同で実施した「企業IT利活用動向調査2025」の結果を公表しました。調査は年次で実施しているもので生成AIの利用などについても調査項目に含めています。
調査は従業員50人以上の国内企業でIT戦略策定または情報セキュリティ施策に関わる係長職以上の役職者を対象に今年1月17日から同24日にかけて実施、1,110社から回答を得ました。
公表された資料によると、回答企業の45.0%が生成AIを利用していました。この内訳は「全社的に利用が推奨され、幅広い業務で利用されている」が15.9%、「必要性の高い特定部門での利用に限定されている」が29.1%でした。このほか、試験的に生成AIを利用し効果を検証しているとした企業が26.3%となったため、生成AIを利用する企業はさらに増加する傾向にあることが分かりました。
生成AIの活用効果については、45.2%が「日常業務の効率化」において「非常に効果が出ている」と回答しました。「ある程度効果が出ている」(38.8%)も含めると8割以上の企業がメールや資料作成、データ入力といった日常業務において生成AIの活用効果を認識していることになります。
一方で生成AIの利用においては多くの企業が情報管理のリスクを強く意識していました。全社的に幅広い業務で利用している177社では、59.9%が「社内の機密情報が生成AIに入力され、それが外部に漏えいする」ことを懸念点として回答しました。また、必要性の高い特定部門での利用に限定している323社では、59.1%が「生成AIが出力した偽情報や誤った内容を信じて業務に使用する」ことを懸念点としました。JIPDECとITRは「AIの生成結果を適切に管理・監視する仕組みを整えることが不可欠」と指摘しています。
ランサムウェア攻撃についても調査しました。それによると、回答企業1,110社のうちランサムウェアの感染経験があるのは48%、身代金を支払ったのは23.8%となりました。ランサムウェアに感染した企業に侵入経路を尋ねたところ最多となったのは「メールや添付ファイル」で28.3%、次いで「VPNやネットワーク機器の脆弱性」が20.8%、「リモートデスクトッププロトコルの悪用」が19.9%となりました。
このほか、「プライバシーガバナンス」の重要性が高まりつつあるとしてプライバシーガバナンスへの取り組み状況も尋ねています。取り組みの実態についてガバナンス構築のために企業が取り組むべき事項などを示した「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブック」(経済産業省・総務省)に記載のある3要件(※)に沿って適切に取り組んでいることがうかがえると評価しています。
※DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックの3要件とは、①プライバシーガバナンスに係る姿勢の明文化②プライバシー保護責任者の指名③プライバシーへの取り組みに対するリソースの投入。