日本企業は詳述のガイドラインを待ってからの対応が得策、欧州AI規制法の概要とコンテンツ企業への影響に関する調査結果を公表 JETRO
日本貿易振興機構(JETRO)はこのほど、「フランスを中心とする欧州におけるAI規制法の概要とコンテンツ産業等における影響調査」の結果を公表しました。欧州AI規制法およびフランスにおける生成AI規制などの概要の調査と、我が国のコンテンツ産業への影響について分析を行っています。
欧州AI規制法は、AIの利用に一定の枠組みを設けることで、AIに対するEU市民の理解と受容を図ることを目的として、欧州委員会が制定しました。適用は段階的に実施され、発行日の2024年8月1日から2026年8月1日までが過渡期間となっています。また、AIがもたらす可能性のあるリスクの程度を▽許容できないリスク▽ハイリスク▽透明性確保を必要とするリスク▽最小リスクの4つに分類し、▽開発者・プロバイダー▽公的機関などのデプロイヤー▽インポーター▽ディストリビューターという、AIのプレイヤーごとに定められた規制を課すという点が特徴だとされました。
日本のコンテンツ産業への影響としては、AI規則の全面適用が開始されない限り具体的な対応策は不透明であるものの、定められる義務のうち「AIによって作成・操作されたコンテンツの明示義務」が直接的に関わるものだろうと記されています。日本企業はまず、EU域内で提供する自社の製品・サービスに欧州AI規制法が適用されるAIが使用されているかどうかを点検すべきであり、コンテンツ企業が提供する製品・サービスの多くは「透明性確保を必要とするリスク」に分類されると考えられています。そして、このリスクに関する条項の適用開始は2026年8月2日となっており、具体的な欧州AI規制法への対策は、詳細なガイドラインやテンプレートが出てくるのを待ってから行うのが得策だろうと提言しました。