
「CMMI」とは、組織のプロセスを改善するためのフレームワークです。ソフトウェア開発やシステムエンジニアリングをはじめとした幅広い分野で、プロセスの成熟度を評価し向上させるための指針として活用されています。CMMIに沿ったプロセスの評価と改善策の実施により、効率的で効果的な組織やプロジェクトの運営を目指すことができます。
CMMIは認証制度ではありませんが、外部機関の評価を受けることで、認定を受けることは可能です。2023年4月にV3.0がリリースされましたが、V3.0を用いての評価開始は2024年中頃を予定しています。
CMMIとは
CMMIとは、「Capability Maturity Model Integration」の略称で、日本語では「能力成熟度モデル統合」と訳されます。
CMMIは、ソフトウェア開発プロセス改善のためのCMM(Capability Maturity Model:能力成熟度モデル)を起源としています。CMMは、1980年代後半から90年代にかけて、米カーネギーメロン大学のソフトウェア工学研究所(SEI)によって開発されました。CMMをソフトウェア開発だけでなく、システムエンジニアリングやサービス提供などの分野にも拡大し統合して生まれたのがCMMIです。今はISACAがフレームワークの維持・管理をしています。
CMMIは改訂を重ねるたび、活用できる業務の領域を広げています。開発やサプライヤー管理、セキュリティなどに加えて、2023年4月にリリースされたV3.0では、データや人材の管理、バーチャル空間での作業などの領域も追加されています。
CMMIの表現形式
成功した組織やプロジェクトの事例をベストプラクティスとして集めたのがCMMIです。CMMIを活用してプロセスの改善を図ることで、品質・生産性の向上やコスト削減を実現し、市場競争力の強化が期待できるでしょう。
CMMIを活用してプロセスの評価・改善する際には、組織の目的に応じて、以下の2つのアプローチ(表現形式)から選択できます。どちらも組織が効率的・効果的に能力を向上することを目的としていますが、その進め方に違いがあります。
- 連続表現(Continuous Representation):
- 組織が特定のプロセス領域を選択し、段階的に改善していくアプローチです。個々のプロセス領域の達成度は、能力度レベルで評価します。このアプローチは、組織が特定の領域に焦点を当てて、段階的に改善を進めたい場合に適しています。
- 段階表現(Staged Representation):
- 組織全体のプロセス改善を一貫して段階的に進めるアプローチです。5段階の成熟度レベルに対応したプロセス領域を改善していくことで、組織全体の成熟度を高めていきます。このアプローチは、組織全体の能力を向上し、一貫性のあるプロセス改善を図りたい場合に適しています。
連続表現と段階表現は、プロセスの評価・改善へのアプローチが異なるだけで、本質的な内容や構成要素は同じです。組織に合ったアプローチ方法を選んだり、組み合わせて活用したりすると良いでしょう。
CMMIの認定
CMMIの正式な評価は、認定機関によるアプレイザルと呼ばれる診断を受けることで、CMMI Instituteから公式な認定を受けることが可能です。アプレイザルでは、アプレイザーチームがプロジェクトのドキュメントや関係者へのインタビューなどを通じて、レベル認定に求められる要件を満たしているかを判定します。 なお、アプレイザルには高額な費用がかかります。認定には3年の有効期限があり、継続するためには3年ごとに再認定が必要な点にも注意が必要です。
CMMIは、組織のプロセス改善のためのレームワークです。認定を受けることで、対外的に組織のプロセス改善の取り組みを示せます。また、高額な認定を受けなくても、旧版であれば無料で閲覧(※1)できますのでCMMIを活用して組織の課題を見つけ出し、自主的にプロセスの改善を図るのも良いでしょう。