保有データを最大限に活用し価値創造へ、「データガバナンス・ガイドライン」を公表 デジタル庁
デジタル庁は6月20日、「データガバナンス・ガイドライン」を公表しました。経営者向けにデータガバナンスの重要性と実践における要点をまとめたものであり、データガバナンスは経営者の責任として強いリーダーシップの下で実施すべき施策であると記しています。
データガバナンスとは、自社の重要な資産であるデータを戦略的に管理・活用するための仕組みやルール、体制のことです。データの品質やセキュリティを保ちつつ、誰がどのように使えるかを明確にすることで、ビジネス価値を最大化し、リスクを最小化する取り組みを指します。
ガイドラインでは、諸外国に比べて日本は企業・産業におけるデータの利活用はまだ限定的だとされ、背景にはデータを他社に提供することによるリスクやデメリットへの懸念が強いことが挙げられています。データを他社から受け取り、自社のデータと連携することで価値創造が促進されるとの意識が浸透していないと指摘しました。
データガバナンスを構築することで自らが保有するデータを最大限活用し、持続的な企業価値の創出につなげていけるとしています。データガバナンスの構築は経営者のトップダウンによって取り組むべき重要な経営課題だとして、①経営ビジョンとDX戦略との連動②経営者による説明責任③データを最大限利活用できる体制の構築④企業文化への定着と人材の育成――という4つの視点を意識することを推奨しました。
①については「デジタルガバナンス・コード」と整合性を図ることが適切であるとしたほか、③についてはデータ責任者(CDO:Chief Data Officer)を設置することなどが経営者の責務などと記しました。
また、①越境データの現実に即した業務プロセス②データセキュリティ③データマチュリティ④AIなどの先端技術の利活用に関する行動指針--という4つの柱からデータガバナンスは実装されると整理しました。柱それぞれについて、基本となる考え方▽経営者が認識しておくべきこと▽望ましい方向性――を示しました。
なお、①は、国・地域の法令やルールは変化し続けている中、相互運用を可能とする業務プロセス。②は、データのライフサイクルに応じたルールを設定し、技術的防護策やデジタルIDなどによるサプライチェーン横断的なデータの管理と利用を検討するとともに、万が一の場合に備えて対応プロセスを策定すること。③は、データを最大限に利活用できる、企業の総合的な能力。④は、AIモデルやAIシステムが今後も急激に変化していくため、利用するデータに関わる現場で掲げる行動指針を策定・見直しすること。自社のノウハウを過度に保護することでAI化が遅れ、生産性が劣後することは経営上のリスクとなるなどと指摘しています。
このほかガイドラインでは経営者が取るべき行動、CDOや専任部門などが取るべき対応についても提示しています。