ペイロード
掲載:2024年01月10日
用語集
ペイロード(Payload)は、もともとトラックなどが運ぶ「対価を得られる荷物(有償搭載量)」を意味する用語です。それをIT分野では、データ通信における制御情報を除くデータ本体をペイロードと呼ぶようになり、転じて、マルウェアに含まれる被害をもたらすコード本体を表すようになりました。つまり、サイバーセキュリティの文脈における「ペイロード」とは、マルウェアが実行する悪意あるコード部分を指します。ここではサイバーセキュリティの分野におけるペイロードについて解説します。
ペイロードの脅威
データの破壊やアクティビティの監視、スパムの送信など悪意のあるペイロードが仕込まれたマルウェアは、一見正当なデータやコードに紛れ込んでシステムに侵入し、さまざまな被害をもたらします。
ペイロードの脅威はその潜伏性にあるといってよいでしょう。攻撃者はメールの添付ファイル、ウェブサイトのコンテンツ、広告バナーなどを通じてペイロードを配布します。ペイロードは、ユーザーの特定の行動や設定された時間までは自身を無害なものとして悪意を現しません。
しかし、一度実行されると、ペイロードはシステム上で不正な行動を開始し瞬く間に広がります。データの流出やランサムウェアによる金銭的な損害、システムの破壊などの被害をもたらし、個人のプライバシーや組織の情報セキュリティに重大な脅威となります。
ペイロードの具体的な手口
攻撃者はさまざまな手口でペイロードをターゲットへ配布し、実行します。中でもフィッシングメールは代表的な手口の一つです。信頼できる送信元を装い、本物に見せかけたメールでユーザーを騙して、ペイロードが仕込まれた添付ファイルやURLを開かせます。
その他の代表的な手口は以下のとおりです。
ドライブバイダウンロード | ウェブサイトを訪問するだけで、悪意あるペイロードが自動でダウンロードされる |
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エクスプロイトキット | ウェブサイトや広告を介して配布され、未修正の脆弱性があるとペイロードを自動でインストールする |
ソーシャルエンジニアリング | なりすましや権威の悪用などでターゲットを信用させてペイロードを実行させる |
これら一般的な手口に加え、攻撃者は常に新たな方法を生み出しています。被害に遭わないためには、適切なセキュリティ対策が重要です。
攻撃から身を守る方法
悪意のあるペイロードから身を守るためには、複数の種類を組み合わせたセキュリティ対策が欠かせません。
もっとも基本的な対策は、定期的なOSやソフトウェアのアップデートです。ペイロードが狙う既知の脆弱性の穴を塞ぎます。また、セキュリティソフトやファイアウォールの導入も有効です。悪意のあるペイロードを含むマルウェアの侵入を未然に防いだり、侵入したペイロードを検知・駆除したりします。
このようなシステム的な対策に加えて、利用者のセキュリティ意識の向上も不可欠です。不審なメールの添付ファイルやリンクを開かない、怪しいサイトからソフトウェアをダウンロードしないなどの基本を徹底しましょう。さらに、定期的なバックアップの取得により、万が一被害に遭った場合でも素早く復旧が可能です。
ペイロードによる被害を最小限に防ぐためには、こうした複合的なセキュリティ対策が求められます。