業種別BCP: エネルギー
業種の特徴
エネルギー業は、電力やガス、石油の供給に関わるビジネス分野を指します。社会インフラビジネスであり、幅広い利害関係者を持ちます。加えて、サプライチェーンに強く依存することも特徴の一つです。具体的には例えば、石油やガスなど比較的メジャーなエネルギー資源が関係するバリューチェーンでは、資源採掘・輸送・貯蔵・生産・輸送・販売のような流れが一般的ですが、ここに複数の企業が関係しています。
BCPの役割
エネルギー業におけるBCPには大きく4つの役割が求められます。1つ目は、「甚大な被害の発生を未然に防ぐ防災・減災活動」です。被害を完璧に抑えることは不可能とは言え、やはり非常に意義のある活動です。2つ目は「被災地域におけるサービス提供の早期再開と被災地域支援」です。早期再開のために全力で復旧にあたるとともに、傷病者対応を行う病院や生活に困窮する被災者など、1秒たりとも復旧を待てないステークホルダーに対する地域貢献が求められます。3つ目は「未被災地域におけるサービス提供の継続」です。社会インフラ事業であるため「あちらのサービスを再開させるため、こちらのサービスを停止させる」といったような、サービス範囲や品質の絞り込みが非常に難しい分野だからです。4つ目は「情報発信・共有」です。膨大なステークホルダーが自身の被災下においてこれからの行動を決定するため、正確かつ迅速な情報を欲しているからです。
BCPのキーポイント
事業継続や復旧活動には何をするにも人的リソース、それも膨大な数の人的リソースが必要です。限られた要員をどのように配賦するか、もしくは新規に調達するのかについて、要員配賦計画を策定しておくことが大きな鍵です。さらに、サプライチェーンに対するBCPを検討しておくことも重要です。また、膨大なステークホルダーをマネージするためのクライシスコミュニケーションの方針や計画を整備しておくことが必要です。最後に、地域貢献に対しては、その有効性を高めるためにも、誰が誰に何をするのかについて、ある程度明確化させておくことが必要です。同時に、インフラ復旧の使命を帯びている以上、地域貢献と言っても、できないこと(例:帰宅困難者受け入れなど)もあるでしょうから、そうした旨を情報発信しておくことも重要でしょう。
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