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コラム

新型インフルエンザ発生からの経緯と今後の指針

2009年08月31日

2009年8月31日更新(随時アップデート予定)
新型インフルエンザ発生から現在までの経緯を見ていくと、以下のような結論を導き出せます。

◎ 北半球でも秋を待たずに流行期に突入。早急な対策が求められる。
◎ 断定的・限定的な被害想定にもとづく対応計画は、有効性に改善の余地あり
◎ 日本政府やWHOが示す警戒フェーズを参考にしつつ、各企業が独自の意思決定基準を定めておくことが重要


予想より早い流行拡大

予想より早い流行拡大。日本企業は早急に対策完了を!

日本を含む北半球の各国では、新型インフルエンザは、季節性のインフルエンザと同じく、湿度と気温の下がる秋以降の再流行が懸念されていました。このことは、6月以降冬場に向かい始めた南半球において、当初流行の中心地であった北半球よりも、感染拡大のスピードが速かったことから導き出された推論でした。したがって、秋までに対策を完了するべく、準備を進めていた企業が多いようです。

グラフは、全世界の感染者数の増加率と、オーストラリアにおける感染者数の推移を比較したものです。オーストラリアでは、6月に入り毎週100-200人ずつ感染者数が増加していました。

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しかしながら、実際には、7月以降、北半球でも感染者が増え続け、日本でも夏休み期間中に各地で感染が拡大しました。日本では、8月中にインフルエンザ流行期に入ったことが国立感染症研究所のまとめにより判明しています。8月中のインフルエンザ流行期入りは、1987年の調査開始以来、初めてのことだそうです。流行の中心は高校生以下の若年層であり、9月からの新学期開始とともに、さらなる影響の拡大が予想されます。

若年層での感染拡大は、間接的に企業の事業継続に影響を及ぼします。なぜなら、子供の看病のために欠勤せざるを得ないという従業員や、家庭内での感染により欠勤する従業員が増加し、人的リソースの不足が発生するからです。

「本人が罹患・発症した場合に、勤怠の扱いを含めどのような指示を行うのか」、また、「通常よりも少ない人員で業務を継続するために、どのような対応が必要なのか」など、事前に検討しておくべきいくつかのポイントがあります。従業員の不安を解消し、お客様との信頼関係を維持するためには、緊急時に慌てて対処するのではなく、会社としての方針・ルールを事前に周知していく必要があるでしょう。そのための早急な議論が、いま求められています。

断定的・限定的な被害想定は見直しを!

今春のインフルエンザAの発生以前に新型インフルエンザ対策を策定していた企業は、比較的早いタイミングで(※)BCP(事業継続計画)を発動した例も少なくありませんでした。

(※)例:「WHOによる警戒フェーズが『5』となった時点で、海外渡航全面禁止、対面式の打合せを取りやめる」など

しかし、今までは、「新型インフルエンザ」=「鳥インフルエンザ由来の強毒性ウィルスの流行」というのが一般的な認識であり、日本政府および企業の懸念の中心だったため、すでに新型インフルエンザ対策に着手していた多くの企業は、強毒性ウィルスが発生した場合を想定していました。

そのため、実際に新型インフルエンザとして確認されたインフルエンザAが弱毒性であったことで、すでに各社で策定済みであったBCPにおける被害想定とのギャップに、多くの企業が戸惑いました。たとえば、WHOによる警戒フェーズが「5」となった時点で「海外出張禁止」や「イベントの取りやめ」などの対応を決定していた各社は、インフルエンザAの毒性が比較的弱いことが判明した時点で、警戒態勢を解除するかどうかの判断をせまられるなど、想定外の事象が発生しました。

「強毒性の新型インフルエンザが発生した場合」のみを想定した対応計画を策定していた企業は、既存の計画によって柔軟な対応が可能(であった)かどうか、一度検証してみることが望ましいでしょう。

企業独自の業務縮退/継続の判断基準策定を!

見直しの際には特に、どのような状況をもって業務の縮退や自宅待機の指示を出すのか、という判断基準の見直し・策定が、重要な焦点となります。ポイントは、意思決定にあたって柔軟な対応が可能なように、”情報の整理の方法”を決めておくことです。整理すべき情報としては、以下のようなものが考えられます。
  • ウィルスの毒性
  • 国内発生/未発生の区別
  • 国内の感染発生地域と自社の事業所との地理的な関連性 など
新型インフルエンザ対策のご相談は、新型インフルエンザ対策サービスでご対応します。是非ご相談ください。

参考:新型インフルエンザ発生から現在までの経緯

WHOによる警戒フェーズ「4」引き上げまでの動き(09年3月~4月28日)

4月13日    メキシコにおいて最初のインフルエンザA(当初は豚インフルエンザと呼称)の患者を確認
4月16日    メキシコ政府が警戒態勢に(国民への発表は4月23日になってから)
4月23日    メキシコ政府が豚インフル感染を発表
4月24日    メキシコ保健省およびWHOが「インフルエンザのような症状でメキシコで約1000人の患者と60人の死者」と発表
アメリカでも8人の患者を確認
4月25日    WHOは初の緊急委員会を開催、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」との発表
4月26日    メキシコで死者103人、感染の疑い1614人
カナダで6人の感染を確認
ニュージーランドで感染を確認
アメリカでカリフォルニア、テキサス以外にカンザスで発症確認
4月27日    WHO、フェーズに関する再協議を前倒しで開催、フェーズを「4」に引き上げ
4月28日    日本では麻生太郎首相を本部長とする対策本部を設置
厚生労働大臣が感染症法に基づく「新型インフルエンザ等感染症」の発生を正式に宣言

WHO警戒フェーズ「5」引き上げまでの動き(~09年4月30日)

4月29日    アメリカで2歳弱の幼児が死亡(新型インフルエンザに感染を確認)
感染が確定したのは10カ国
4月30日    WHOが警戒フェーズを「5」に引き上げ
成田空港でアメリカから帰国したインフルエンザ患者を隔離

WHO警戒フェーズ「6」引き上げまでの動き(~09年6月11日)

5月3日    アメリカ「新たな感染の検査は無意味」-感染者が多すぎてカウントを停止
世界全体で感染確定者が1000人を超える
5月15日    全世界で感染者数が7600人を超す
5月16日    日本国内で初の二次感染を確認
5月28日    日本国内の感染者数が10都府県で364人となる
5月30日    全世界で感染者数が60カ国・地域で1万6774人
6月4日    全世界で感染者数が70カ国・地域で2万人を超す
6月10日    日本国内の感染者は、初確認から約1カ月で500人台の518人
6月11日    WHOが警戒フェーズを「6」に引き上げ
ウイルスの病原性は低く、「重度」より軽く「軽微」より重い「中」程度だとの認識を示す

その後の動き(~09年8月31日)

6月19日    国内感染者が700人を超す
6月29日    沖縄で初の新型インフルエンザ患者発生
7月3日    国内感染者が1500人を超す
7月19日    国内感染者が4000人を超す
8月15日    新型インフルエンザで国内初の死者(57歳男性)
8月18日    神戸で新型インフルエンザ国内2人目の死者(77歳男性)
8月19日    名古屋で国内3人目の死者(81歳女性)
舛添要一厚生労働相が記者会見し、新型インフルエンザについて警戒を呼び掛け
8月21日    厚労省がインフルエンザの「流行期」入りを宣言
(全国約5千の医療機関からのインフルエンザ患者報告数が、全国流行開始の指標である1施設当たり1・00人を上回る1・69人に達したことを受けての宣言)
8月29日    新型インフルエンザ感染による国内死亡例が、疑いも含め7人に

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