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コラム

テロを想定した国民保護訓練

2015年04月15日

コンサルタント

山田 真司

コンサルタント 山田 真司

なぜ今国民保護なのか

“水と安全はタダ”と言われた日本においても、テロの脅威に対する備えがこれまで以上に求められています。今年だけでも、1月にイスラム国による邦人人質殺害事件が、3月にはチュニジアにて邦人が巻き込まれる無差別銃撃事件が発生するなど日本人が標的にされる(または巻き込まれる)テロ事案が既に2件も発生しています。また、2020年のオリンピック開催を控える東京がテロの標的にされる可能性は日を追うごとに増すばかりであり、国・地方公共団体そして市民が連携したALL JAPANによるテロに対する備えが求められています。

本日ご紹介する国民保護共同訓練(以下、共同訓練)は包括的なテロ事案等への対応訓練であり、国と地方公共団体が共同しながら、全国で毎年実施しています。

本年度は、13の地方公共団体と共同訓練を実施し、その内2県(茨城県(2014年11月実施)、徳島県(2015年2月実施)の訓練について、ニュートン・コンサルティングが企画支援を実施致しました。

国民保護訓練の概要

国と地方公共団体が連携して実施する共同訓練には、①現地において、実践的な模擬状況のもとで、国や地方公共団体及び住民等が参加して訓練する実動訓練、②図上において、国や地方公共団体等の対策本部活動及び対策本部事務局勤務について訓練する図上訓練の2種類の方式で実施されています 。実動訓練においては、警察や消防の緊急車両や航空機が参加し、テロに巻き込まれた住民の搬送、散布された化学剤の除去等を実際に行います。その迫力は、映画さながらの迫力と言って良いでしょう。

一方の図上訓練においても、国と地方公共団体合わせて30以上の関係機関が参加する大規模な訓練となっています。多彩な関係機関の参加、そして連携こそが、国民保護共同訓練の特徴の1つではないでしょうか。

主な訓練参加機関

弊社が支援致しました徳島県での共同訓練では、内閣官房を始め、警察庁、消防庁、厚生労働省、国土交通省、防衛省・自衛隊(陸海空)、海上保安庁などの中央省庁に加え、徳島県、県内市町村、徳島県警察、各市消防本部、日赤徳島県支部、DMAT等の県内関係機関、鳥取県や愛媛県等の近隣各県が参加する非常に大規模な訓練が実施されました。

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徳島県対策本部統括司令室の風景

国民保護訓練の実施

以下、弊社が支援した徳島県での共同訓練を基に、訓練を通じて感じたポイントを紹介したいと思います。
徳島県の訓練は、「阿南市内に所在する商業施設において爆発物が爆発し、多数の死傷者が発生。その後、逃走中の犯行グループが爆発物等を所持して小松島市と阿南市の境界に近い地域に所在する商業施設に、人質を取って立てこもる 」という想定で訓練が実施されました。事態の進展に対応した対策本部の対応、複数市にまたがる事案発生時の関係機関との連携(特に住民避難に係る連携)が主な訓練項目です。この訓練項目を着実にこなしていく為には、訓練参加機関間における3つの連携が非常に重要なポイントとなります。
  1. 地方公共団体内の連携
    1つ目の連携ポイントは、地方公共団体内(県と各市町村)での連携、特に情報の収集・共有を如何に迅速かつ正確に行うことができるかです。凡そ200枚にも及ぶ状況付与カードの発出に対して、県や市対策本部内の各班(統括班や広報班など)の間で、例えばホワイトボードに情報を列記する、拡声器を用いる等により情報の整理・共有を行います。 整理・共有された情報は、対策本部会議にて県知事や市長に報告される他、住民やマスコミからの問合せに対する広報としても用いられます。

  2. 地方公共団体と関係機関との連携
    連携に関するポイントの2つ目は、関係機関間での部隊運用に関する連携です。特に警察・消防や自衛隊、DMATの各部隊を効果的に派遣することができるか、必要な応援を要請できるかがポイントになります。地図及びクロノロジーの活用等により、現状を“見える化”することで、対策本部における意思決定を補助し、意思決定した内容もまた、関係機関と情報共有します。

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関係機関との情報共有の風景

  1. 国と地方公共団体の連携
    最後の連携ポイントは、国と地方公共団体との連携です。発生した事案の概要、被害情報や関係機関の対応状況について県市から国に報告が行われ、事案解決に向けた国と地方公共団体が協議し今後の対応方針が検討されます。関係機関が報告する被害情報や対応状況等の情報は訓練中に整理・共有されたものであり、まさに訓練の総括となる部分です。

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政府と県市による合同対策協議会の開催風景

訓練を支援して

この度、茨城県と徳島県の共同訓練を支援できたことは、テロのみならず緊急時における国や地方公共団体の動きを間近で見ることができたことに加え、30以上の関係機関が参加する大規模訓練を企画・実施する点で企業における訓練でも有益であると考えます。

特に、①テロが発生する2か月前から“世の中の状況”を設定し、関係機関の予想される動きを想定する「タイムライン型」訓練のシナリオ設計手法、②ブラインド方式の訓練において、プレーヤの自由な判断に対応する詳細・緻密な各機関の状況付与をすることで、ワンランク上の大規模訓練を実施できるでしょう。  国民保護共同訓練は、一般の方も参観する機会があります。緊急時における政府や関係省庁の動きを理解するため、大規模訓練の実例として参考にするため、是非一度参観されることをお勧めします。
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