リスク管理Naviリスクマネジメントのワンストップ情報サイト

用語集

国民保護計画

2014年08月11日

「国民保護計画」は、地方公共団体、指定行政機関等において策定が義務付けられている、「国民保護法にもとづいた国民の保護に関する計画」です。そして「国民保護法」は、平成16年に制定された法律「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(以下国民保護法)」で、国民の生命、身体及び財産の保護を図ることを目的としているものです。「武力事態等」とは、我が国に対して「外敵が武力攻撃を仕掛けてきた場合」を意味していますが、それ以外にも「緊急対処事態」(国内における大規模な死傷者が発生しそうな箇所(石油コンビナートや原子力発電所等の施設、大型集客施設、ターミナル駅等)に対する攻撃があった場合と、当該行為が発生する明白な危険性が迫っている場合)にも適用されます。

この法律は、まず平成15年度に、我が国に対しての武力攻撃への対処の備えとして「事態対処法」が成立しましたが、そのなかでも国民に対する保護についてさらなる整備が必要とされていたため制定されました。そもそも事態対処法が必要とされた背景には、9.11やイギリス同時多発テロのような国際テロ組織の活動や、武装不審船の出現など、我が国の平和と安全に対する脅威の多様化が挙げられます。

また、国民保護法は「国民の保護措置のための基本方針を定めるもの」であり、地方公共団体は「この基本指針に基づいて自ら国民保護のための措置を取ること」を求められているほか、各指定公共機関(電気、ガス、輸送等の公益的事業者や、日本放送協会、日本赤十字社のような公共的機関)などにおいても、有事の際にはその業務について地方公共団体との相互連携協力が必要とされています。なお、現在では全都道府県では各々「国民保護計画」が策定されており、各市町村においても策定が進められているという状況です。

「国民保護計画の発動」とは

我が国の安全を脅かすような武力攻撃事態等、緊急対処事態が発生した場合、政府対策本部より国民保護計画の発動が宣言され、各地方公共団体で国民保護計画に則った措置が講じられます。しかし、爆破テロや武力攻撃が発生したとしても、即時対応が可能となるわけではありません。

実際に発動に至るまでにはいくつかのプロセスが必要となり、それらを経てはじめて「これは我が国に対する緊急事態である」という認定がなされます(以下「事態認定」)。そこでようやく国民保護計画の発動となるため、それまでは現場において各地方公共団体における地域防災計画内での対応となります(図1参照)。例えば「国民保護」「武力攻撃」と聞くと、自衛隊がすぐに派遣されて武装勢力を鎮圧、というようなイメージがありますが、自衛隊が武装可能となるのは、事態認定され命令が発せられた後ですので、それまでは災害派遣や地域住民避難誘導等の活動となります。

401_ext_05_1.png

これまでに実施されてきた訓練とは

とはいえ、国民保護法の制定から現在まで実際に国民保護計画が発動された例はありません。しかし、制定翌年の平成17年度から、国・地方公共団体、関係機関及び地域住民が一体となった実働、図上訓練(国民保護共同訓練)が行われています。こちらは平成17年度以降毎年行われ、21年度末には全都道府県で1回以上実施済みとなりました。
主な訓練シナリオとしては、テログループによる爆破や化学剤散布を想定したものとなっており、事案発生から国民保護計画の発動に至るまで、現場で必要とされる対応や各機関との連携が考慮されています。また、空港における実動訓練や県境を越える大規模避難等も行われています。
【表1】訓練実施回数
 回数  団体数 都道府県
8回 1県 福井県
6回 1県 徳島県、愛媛県
4回 2県 富山県、鳥取県
3回 10都県 青森県、山形県、茨城県、埼玉県、東京都、新潟県、佐賀県、熊本県、宮崎県、沖縄県
2回 18道府県  北海道、岩手県、秋田県、千葉県、神奈川県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、兵庫県、岡山県、山口県、香川県、福岡県、長崎県、鹿児島県
1回 14府県 上記以外
出典:内閣官房 国民保護ポータルサイト「平成25年度国民保護訓練の成果等について」

さらなる充実化のための要素とは

国民保護の制度をさらに充実したものにするためには、一人一人の意識の引き上げが必要であると考えられます。しかし、国民保護共同訓練もこれまで10年近く毎年行われていますが、一般的な認知度は低く、「国民保護」という言葉自体、広く一般に知れ渡っていないのが現状です。

国民保護法では我々国民に対しても協力を求めているものの強制力まではないとされておりますが、国民保護計画が発動されるような異常事態に陥った場合、最初に被害を受けるのは区市町村であるため、当事者は関係機関ならびに地域住民です。現場にもっとも近く、また長時間危機にさらされるのは、自分自身や家族なのです。しかしながら、地震のような自然災害での避難に比べて、攻撃に対して身の安全を確保するため、どのような対応を取るべきか、ということに対しては、十分な周知や教育もなされているとは言い難い状況です。

認知度向上のための方策とは

「国民保護」や「外敵からの攻撃」という言葉は、国全体という大きな枠にとらわれがちですが、個人としてどう対処するべきか、という意識と認識がなければ、本当の意味で「保護」されることは叶いません。とはいえ、具体的に何をなすべきなのか、個人単位で確認することは難しいかもしれません。

現在、「国民保護」に関して、内閣官房によるWEBサイト「国民保護ポータルサイト」が運営されており、国民保護の仕組みについての説明や武力攻撃等から身を守る際のパンフレットが掲載されています。こちらに目を通すだけでも、我々に迫る脅威について意識の向上へつながるのではないかと思われます。

いざというとき「国民保護」をなすためには、我々国民が、国や地方自治体にどんな対処方針があり、対応計画があるのかということを知り、自分たちの取るべき行動を正しく認識することが求められているのです。

(文責:滝沢 紀子

小冊子プレゼント

リスクマネジメントにかかわる小冊子PDFを無料でダウンロードいただけます。

情熱コンサルタント宣言

私たちは「本当にお客様の役に立ちたい!」という熱い心を持ったコンサルタント集団です。真の意味でお客様の礎となる支援をいたします。

新着コンサルタントコラム