東京都はこのほど、「東京都国民保護計画」の変更素案を公表し、意見公募を始めました。募集期間は2月27日まで。東京都では寄せられた意見を踏まえ、今年7月をめどに東京都国民保護計画を変更する予定です。
東京都国民保護計画とは、武力攻撃事態や大規模テロなどの際に東京都が迅速・的確に都民を保護するためにあらかじめ策定する計画です。東京都は2004年9月施行の国民保護法に基づき、2006年3月に策定しました。この計画は国際情勢の変化や国民保護措置の変更、訓練などの成果を踏まえて見直すこととされ、現行の計画は2019年7月に変更したものとなります。
今般の変更案では、最近の国際情勢や大都市東京の特性を踏まえ特に、①弾道ミサイル攻撃、②大規模テロの2つに留意するとしました。具体的にはウクライナ危機などを踏まえてミサイルを現実的な脅威と捉え、ハード・ソフト両面から備えを重視すると記載されています。ミサイル攻撃への対処を強化する表れとして現行計画では武力攻撃事態の類型を①着上陸侵攻②ゲリラ・特殊部隊による攻撃③弾道ミサイル攻撃④航空攻撃――の順序で説明していますが、変更案では①弾道ミサイル攻撃②ゲリラや特殊部隊による攻撃③航空攻撃④着上陸侵攻――へと変更されています。
さらに第6章「平素からの備え」でも、ミサイル攻撃について記載が充実しました。弾道ミサイルは発射の兆候を事前に察知した場合でも、発射された段階で攻撃目標を特定することは極めて困難だとされています。このため、平時から避難行動を理解しておくことが重要となります。変更案では、Jアラート(全国瞬時警報システム)により弾道ミサイル発射情報が発令された際には、「逃げる」「離れる」「隠れる」といったとるべき行動が記載されています。
現行の計画よりも実効性の高い計画とするため、章立ても変更されています。現在は第1章「東京都国民保護計画の基本」、第2章「想定する武力攻撃事態および緊急対処事態」、第3章「平素からの備え」、第4章「武力攻撃事態等への対処」、第5章「島しょ地域における全島避難」、第6章「他県の避難住民等の受入れ」、第7章「大規模なテロ等(緊急対処事態)への対処」、第8章「区市町村計画・指定地方公共機関業務計画の作成基準」――となっていますが、変更案では全6章構成(第1章「東京都国民保護計画の基本」、第2章「想定する武力攻撃事態および緊急対処事態」、第3章「武力攻撃事態等への対処」、第4章「復旧等」、第5章「大規模なテロ等(緊急対処事態)への対処」、第6章「平素からの備え」)とし、「事態への対処を理解した後に、平素の備えの準備態勢を記載することにより対処能力を向上」させるとしています。