東京都は6月27日、「東京都国民保護計画(令和7年変更)」を公表しました。変更は6年ぶりとなり、ミサイル攻撃への対処を強化したほか、より実効性の高い計画となるよう記載を見直しました。
東京都国民保護計画は国民保護法に基づき策定される計画で、外国からの武力攻撃や大規模テロなどの際に都民を東京都が保護することを目的としています。今般の変更にあたっては、今年1月29日から2月27日まで意見公募を実施しました。
東京都に寄せられた意見は7項目に整理され、それぞれに対する東京都の考え方を示した資料が公開されています。例えば、「鉄道の地下化は、シェルターとしての活用、災害時の物資輸送、踏切の解消などメリットが大きいため検討していただきたい」とする意見に対し東京都は、弾道ミサイルなどの攻撃に対して「コンクリート造りの堅ろうな建築物や地下施設への避難が重要」との認識を示した上で、「都営地下鉄麻布十番駅防災倉庫において、より安全に避難できる施設の整備に向けたモデル事業を実施している」などと答えています。
新たな東京都国民保護計画では、想定する事態として特に、弾道ミサイル攻撃が重視されました。旧計画では、武力攻撃事態の類型を、着上陸侵攻▽ゲリラ・特殊部隊による攻撃▽弾道ミサイル攻撃▽航空攻撃――の順序で挙げていましたが、新計画では、最初に弾道ミサイル攻撃を挙げ、次いでゲリラや特殊部隊による攻撃、航空攻撃、着上陸侵攻――の順へと変更されました。また、ミサイル攻撃への対応として、東京都が進めているハード・ソフト両面からの取り組みを充実させるとしています。
東京都では「緊急一時避難施設」の指定を進めており、昨年度は新たに公共施設で30、民間施設で11、地下駅舎で167施設を指定したと公表しています。これにより施設総数は4,630と記されています。なお、緊急一時避難施設とは、ミサイル攻撃の爆風などから身を守るための一時的(1~2時間程度)な避難施設のことです。既存のコンクリート造りの堅ろうな建築物や地下街、地下駅舎、地下道といった地下施設が想定されています。
より実効性の高い計画とするため、章立ても見直されました。旧計画は7章構成でしたが新計画は6章構成となりました。