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中堅・中小企業にこそ有効な「強い会社を作るリスクマネジメント」第6回: リスクマネジメントして広報する

掲載:2016年07月01日

執筆者:代表取締役社長 副島 一也

コラム

リスクアセスメントの次のステップである「リスク対応」の具体例を紹介します。さらに、リスクマネジメントの取り組みを社内外に広報することの大切さについて説明します。

         

リスクに対する具体的な取り組み例

前回は、自社の気になるリスクを以下のように洗い出しました。

  • 守備範囲が広くなりすぎて「社長や特定の幹部が疲弊し、倒れる」
  • 営業がプレッシャーに耐えきれず「メンタルの問題が起きる、離職者が出る」
  • 安値でたくさんの仕事を取って「品質事故が発生し大クレームが起きる」
  • 採用に時間とコストが膨大にかかってしまい「赤字になる」

さて、今回は当リスクマネジメントコラム全6回の最終回に当たりますが、リスクアセスメントの次はリスク対応についても、もう少し具体的な取り組み例をご紹介したいと思います。そこまでやってリスクマネジメントというわけです。ではどんな対応をしていくのか、見ていきましょう。

守備範囲が広くなりすぎて「社長や特定の幹部が疲弊し、倒れる」

社長や幹部が何をやっているか、あらためて洗い出し、誰かに任せるようにしていきましょう。やってみなければ変わりません。また、毎年行う行事なども年間経営カレンダーに明記して責任者を事前にどんどん決めて早いタイミングから任せられる準備を進めましょう。また、それでも倒れたらどうするか、経営者保険などの見直しもしてみるといいかもしれません。

営業がプレッシャーに耐えきれず「メンタルの問題が起きる、離職者が出る」

営業力強化だけでなく、情報発信し続けお客様から問い合わせを増やしたり、影響力の大きな顧客事例などの活用により信用力やブランド力を強化するマーケティング活動などを重視し、もっと楽に営業できる状況への転換を図ったりすることなどで効果があるかもしれません。

安値でたくさんの仕事を取って「品質事故が発生し大クレームが起きる」

上記の信用力やブランド力が高まることで価格勝負からの脱却を目指すことは有効と思われます。それに加えて品質強化のための実質的な活動強化を図りましょう。これには経営者自らが高品質へ向けての標準ルール作りに大いに関わり、日々起こるヒヤリハットや品質事故のモニタリングや事後対応も経営者が直接関わっていくことを日常にしていきましょう。またそれでも事故が起きてしまえば、なぜ、どんなことが起きたのか全社で共有し、2度と起こさないための勉強会を社長主催で実施することも有効でしょう。

採用に時間とコストが膨大にかかってしまい「赤字になる」

抜本的に、人が辞めない、いい人が集まってくる素敵な組織へと日々変革しましょう。社員満足度調査をやってみてもいいでしょう。そもそもそんなことできないとするならば胸に手を当ててそれができる組織にするのに何が必要か考え一つずつ実行してみるのはいかがでしょうか。余談ですが、私自身も会社を経営していて、偉そうに言えないお恥ずかしいことばかりですが、こう書いているとあらためて「やるぞ」という気持ちになります。

リスクマネジメントの取り組みを社内外に発信する

リスクへの対応というリスクマネジメントの重要な活動は、実は単なる経営上の課題改善活動であることが明白です。しかも、ここでやることは目先の対応というより、複雑に絡み合う複合的な課題を一つずつ丁寧に対応していくことであり、そうした一連の活動を通して組織文化や風土を変革していく活動です。だから時間はかかります。劇的な変化はゆっくりと進むのです。

さて、最後に、こうした活動は単なる追加投資というわけではなく、信用力やブランド力を強化し、売り上げや利益拡大に大いに貢献する武器となり、また一方で、予期せぬ損害や損失の発生を抑え、利益を減らさない重要な事前対策となるのです。

そしてさらにそうした機能を強固にするためには、自社の素晴らしいリスクマネジメントの取り組みを社内外に発信し広報活動するのです。例えば「社員満足度No.1企業!」とか「最高品質を生み出すいきいき人財創出企業!」とか思いっきり広報することで、社内には誇らしく、ちゃんとしなければという張り合いが生まれ、また外部には安心で魅力的な付き合いたい会社だと認識されていくのです。

自社を強く変え、営業力・収益力を向上させる取り組み、それがリスクマネジメントの取り組みです。安心して伸びていける幸せな会社を目指して、一刻も早くリスクマネジメントを活用していきましょう。

大塚商会ウェブサイトより転載)
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