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中堅・中小企業にこそ有効な「強い会社を作るリスクマネジメント」第2回:リスクマネジメントに上手に対応する組織に共通する鉄則とは

掲載:2016年03月01日

執筆者:代表取締役社長 副島 一也

コラム

リスクマネジメントを構築するプロジェクトは、担当者や体制を決めた時点ですでに正否が決まります。今回は、リスクマネジメントを適切に構築・運用するための5つの鉄則をご紹介します。

         

担当者や体制を決めた時点で、すでに成否は決している

これからリスクマネジメントをしっかり進めていこうと決意し、担当者を決め、体制やスケジュールを組んでいくとします。この時点ですでに成否は決していきます。リスクマネジメントの仕組みを構築するプロジェクトの多くは失敗します。それはどのように進めようとしているかにかかっているのですが、大規模なクレーム対応や、新規事業の立ち上げなどとは違い、責任者として社長が陣頭指揮を執ることはほとんどなく、誰か時間のある担当者を責任者として任命することが多いためです。
また、必要な体制の中にも、忙しい現場のエースたちは出来るだけ含めるなと社長が指示します。そうすると、このプロジェクトは100%失敗します。社内の誰も重要だと認識しないし、誰も熱心にこのプロジェクトには関わりません。成功しようがないのです。何かしら一定の成果が出たとしてもそれは一時的なもので会社の風土を改革するものにはなりません。当たり前ですね。

しかしながら、一方ではリスクマネジメントの仕組みを実に適切に構築・運用している会社も多数あります。そうした会社に共通する要素、つまり鉄則があります。それは以下の5点です。

  1. 社長自らが指揮を執る
  2. 社内で最も活躍するキーマネージャーたちが推進する
  3. 現場の社員全体で活動する
  4. 自社独自のやり方を自ら考えて活動する
  5. 何年も何年もやり続ける

リスクマネジメントを構築・運用するための5つの鉄則

1. 社長自らがはっきりと指揮を執る

売上や利益は誰もが大事だと判断しやすいのですが、リスクマネジメントを大切にするということは社長がはっきりと言動で示さない限り浸透しません。

2. 社内で最も活躍するキーマネージャーたちが推進する

社長がはっきり指揮を執っても、現場を指揮するキーマネージャーがそっぽを向いていれば動きません。実質的に人事権、指揮権を持ったキーマネージャーを直接体制に組み込むことが重要です。

3. 現場の社員全体で活動する

活動そのものは現場で行います、今どんな品質に関わる事件・事故・ヒヤリハットが起きていて、どんな対策をしたら良いのか、日々実際に活動している現場の人が考え、実践しなければ他にできる人はいないのです。

4. 自社独自のやり方を自ら考えて活動する

どこか他社でやっているやり方、ルール、文書などを持ってきて、さあこの通りにしろと言っても、残念ながらほぼ役に立ちません。参考にはなるかもしれませんが、人間は自分で考え納得したやり方こそ最もうまく活用できる生き物なのです。

5. 何年も何年もやり続ける

リスクマネジメントを適切に運用するのは経営者としての闘いです。品質よりも効率や利益を優先する、人に対する優しさよりも傷つけてでも結果を求める強さだけを優先する、そんな風土があったとするならば、そこには大きなリスクが存在し続けます。それらを変えるのは一時的なキャンペーンではありません。会社が存続する限りやり続ける意思・覚悟を伴う継続的な実行であり、本質的で劇的な変化はゆっくりとしか実現しえないのです。

大塚商会ウェブサイトより転載)
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