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中堅・中小企業にこそ有効な「強い会社を作るリスクマネジメント」第1回:リスクマネジメントは全ての経営者がすでに日々やっている

掲載:2016年02月01日

執筆者:代表取締役社長 副島 一也

コラム

この連載では、中堅・中小企業において現実的で効果的なリスクマネジメントをどう構築して運用していけばよいかを解き明かしていきます。第1回目の今回は、リスクマネジメントの重要性を解説します。

         

経営するということは、リスクマネジメントを行い意思決定し続けること

売上が急に減るリスクって怖くないでしょうか? もちろん考えたくないですが、昔リーマンショックがあった時、当社の売上が突然半分にまで落ちた年がありました。それから数年が経ち、今は営業が順調でも、今度は適切な人材をなかなか確保できない事象が出てきました。慢性的な人手不足で経営する中で、重要なお客様に対し品質クレームが起きるリスクや故意ではないにしろ、そのお客様の重要な機密情報を漏えいするリスクも考えられます。社員の無理が祟り、誰かが倒れ、ネットでブラック企業とたたかれると評判は落ちるし、さらに人材も集まりません。そうしたことの連鎖により、売上が激減するリスクにもつながります。

気になることは実は山ほどあって、何か起きなければいいなと思いながら普段経営していますが、その何かは必ずおきます。長年経営していると経営者はわかっています。でも目の前のことに集中してリスクには意識を向けないようにしています。そして、何か大事なものを失ってから思うのです。あの時やっておけば良かったと。そんな残念な思いを決してしないためにあるのがリスクマネジメントであり、経営するということは、多かれ少なかれこのリスクマネジメントを行い意思決定し続けているということなのです。

「経営目標を」小さな組織のためのリスクマネジメント

組織が小さくてみんな経営者と同様の考えを共有していた時は良いのですが、少しずつ組織が大きくなり、業務分担が進み、考え方、価値観にばらつきが出てきます。今の組織の課題やリスクは何なのか、そのリスクをうまくコントロールするためにはどんな社内ルールを設け、改善するための対応策を講じ、その効果をどうチェックするべきなのか、そうした管理をいかに最適化するべきか ―。
ここをうまくマネジメントできずに経営目標を達成することは出来ないのです。いえ、一時的にできたとしても永続的に発展させていくためにはリスクマネジメントは不可欠であり、それは経営目標達成のための最強のツールとなるのです。

大きな組織では必ずリスクマネジメントの仕組みは導入されています。厳格な社内ルールがあり二重、三重でチェックされる仕組みになっています。しかしながら、売上の架空計上がなされ株式市場に影響を及ぼし、人が住むマンションの建造や、口にする食品に関しても品質に関して嘘・改ざんが次々に発覚しています。そしてそうした事態は会社のブランドや信頼を大きく失墜させ、経営目標達成どころか会社の存続を危うくするほどの影響を与えてしまっています。

大きな組織が導入しているような立派なリスクマネジメントを中堅・中小企業で導入しても嘘・改ざんがなされればそもそも意味を持ちませんし、さらには中堅・中小企業が参考にするには過大な仕組みです。それでは中堅・中小企業において現実的で効果的なリスクマネジメントとはどう構築して運用していけばいいのか。これからのコラム連載のなかで解き明かしていきたいと思います。

大塚商会ウェブサイトより転載)
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