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企業の台湾有事に対する準備状況を調査した「台湾有事調査レポート~迫る危機に、企業は何を備えているか~」を発行

掲載:2023年07月05日

執筆者:エグゼクティブコンサルタント 久野 陽一郎

コラム

ウクライナ戦争が1年以上続く中、東アジアでは、台湾海峡の緊張感が高まり、中国政府の動向に世界が注目している。地理的にも経済的にもつながりの深い中国と台湾だが、その情勢が、我が国にもたらす影響は計り知れない。特に中国は我が国の輸出シェア第1位であり、ビジネスを展開する本邦企業にとって、台湾有事が発生した際には、企業戦略から対応を考え直す必要が出てくるであろう。こういった背景から、我が国の企業が台湾有事をどのように捉え、どのような準備をしているのかを中国・台湾に拠点を置く企業、中国・台湾との取引がある企業を中心に、そのリスク対応またはBCP活動に携わる1,000名を対象に、実態を調査した。

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調査結果サマリー

  • 中国による台湾への侵攻リスクを会社として想定:56%
    (中国・台湾に拠点がある、または両者の企業と取引がある回答者)
  • 生産停止を想定: 45%
    (中国・台湾に拠点がある企業)
    その他に、社員の安全、販売停止、中国企業との取引停止、サイバーアタックなど、事業への影響が多岐にわたることを懸念
  • サプライヤーからの供給に支障が出る: 84%
    (中国・台湾に拠点がある、または両者の企業と取引がある回答者)
  • 台湾有事への準備を実施:36%
    (台湾有事リスクを会社として想定し、台湾・中国に拠点がある回答者)
  • 台湾有事に対して機能するBCPが整備されていない:28%
    (全回答者)

多くの企業が台湾有事リスクを会社として認識し、人命だけでなく、原材料や部品等の調達不足、販売機会の喪失など、ビジネスへの影響が多岐に渡わたることを想定していることが分かった。しかし、リスクを認識しているにも関わらず、代替生産・調達先の確保、有効となるBCPの整備など、事業戦略に関わる対策については検討に至っていない企業が多いことが浮き彫りとなった。

台湾有事がいつ起きるかを正確に予見することは難しいが、発生する可能性が否定できない昨今、企業経営者は、改めて台湾有事がもたらすリスクに目を向け、経営戦略としてどのような対策をとるべきか、意思決定が必要である。

まずは、5つの施策を推奨する。

  1. 体制構築
  2. インテリジェンス情報収集方法の整備
  3. リスクアセスメントと危機対応シミュレーションの実施
  4. 初動対応の整備と訓練
  5. BCPの整備と訓練の実施

本レポートでは上記5つのポイントに着目し、現在の日本企業の置かれている環境および今後企業が取るべき対応について考察する。

「台湾有事調査レポート」調査データの詳細はこちら

調査方法

調査方法の概要を下記の通り記載する。

項目 内容
調査の目的 台湾有事の対応状況調査
回答者 下記のいずれかの企業に所属しており、自社のリスク・BCP関連業務に携わっている方1,000名
  • 中国・台湾に拠点がある企業
  • 中国・台湾に拠点はないが、近隣アジア圏に拠点がある企業
  • 中国・台湾企業と取引がある企業
  • 中国・台湾に拠点がなく、中国・台湾企業との取引も無い企業
回答者属性 回答者1,000名の所属組織規模は以下の通り
  • 5,000名以上:195名
  • 3,000~5,000名未満:83名
  • 1,000~3,000名未満:155名
  • 500~1000名未満:143名
  • 100~500名未満:241名
  • 100名未満:183名
調査期間 2023年2月22日~2月26日
調査手法 ウェブアンケート
本調査はゼネラルリサーチ株式会社の協力のもと実施
設問
  1. 中国が台湾に侵攻するリスクを会社として想定していますか
  2. 中国の台湾進攻リスクを会社として想定しない理由は何でしょうか
  3. 中国が台湾に侵攻するリスクについて、いつから想定を始めましたか
  4. 中国による台湾侵攻が発生した場合、貴社にはどのような影響が想定されますか
  5. 中国による台湾侵攻を想定し、準備を始めていますか
  6. 台湾・中国に拠点がある企業はどのような準備をしていますか
  7. 退避判断基準をどのように定めていますか
  8. 中国が台湾に侵攻した場合に、原料調達等、サプライヤーからの供給に支障が出ますか
  9. 中国が台湾に侵略した場合に、サプライヤーからの供給に支障が出る場合、代替の調達先を確保していますか
  10. 台湾有事に対してどんな課題がありますか
  11. 台湾有事に対して外部コンサルタントの活用をおこなっていますか
※ 複数選択での回答を求めた設問もあるため、本レポートに記載されているグラフの合計値が1000名を超える場合もある