5月24日、三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が陸域観測技術衛星「だいち2号」を打ち上げます。
同機は、東日本大震災で被災地を観測し、地殻変動の把握などで活用された「だいち」の後継機。地球観測衛星は広域を一度に見渡せ、地上や航空機での観測が困難な地域でも観測が可能で、精度が大幅に向上した同機では、地上にある1~3メートルの物体まで識別でき、地表のわずかな変化を捉えることで災害監視に活用できると期待されています。
東日本大震災において、JAXAは「だいち」による三陸沿岸などを緊急観測しました。これにより津波被害の全貌が明らかになり、地下に断層運動があることなどもわかりました。また、観測画像に地図情報を重ね合わせた防災マップや、津波によって浸水した湛水域、海上漂流物の画像等を防災関連機関に提供し、被災状況の把握や被災者捜索活動に貢献しました。上空が飛行禁止区域だった福島第一原子力発電所も衛星でなければ見ることができなかったなど、東日本大震災では、災害対策の様々な場面で衛星が活用されていました。
JAXAは自治体と積極的に協定を結び、防災訓練に合わせて地球観測衛星と通信衛星を使った実証実験を行うことで、自治体との連携を深めていく考えです。「だいち2号」が観測したデータの一般提供は打ち上げから半年後に開始される予定。