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サプライチェーン・マネジメント(SCM)

掲載:2024年04月16日

用語集

「サプライチェーン・マネジメント(SCM)」とは、企画・開発された商品が消費者に届くまでの一連のプロセスである「サプライチェーン」を管理し、全体の最適化を図る経営手法を指します。サプライチェーン・マネジメントにより、生産性の向上やコスト削減などさまざまなメリットが期待できます。また、レジリエントなサプライチェーンを構築することは、さまざまなリスクから企業を守ることにつながります。

         

サプライチェーン・マネジメントの定義

サプライチェ―ンとは、原材料や部品などの調達から生産、在庫管理、配送、販売を経て、商品が消費者に届くまでの「供給の連鎖」のことです。サプライチェーン・マネジメントは、サプライチェーン全体の情報・物・金の流れを共有、連携し、最適化を図る手法を指します。

サプライチェーン・マネジメントが注目される背景

グローバル化により生産や物流、販売のネットワークが世界に広がる中、企業が安定的な調達を確保し国際的な競争を勝ち抜くためには、サプライチェーンの各プロセスを一元管理し全体最適化を図ることが求められます。また、近年では、ECの普及による新たなビジネスモデルの台頭や、少子高齢化や労働条件の問題による深刻な人手不足なども、サプライチェーン・マネジメントが注目される要因となっています。

さらに、風水害やパンデミックなどの環境的リスクやテロなどの地政学的リスク、情報セキュリティリスクなど、さまざまなサプライチェーンリスクも見逃すことができません。2011年の東日本大震災における地震と津波は、サプライチェーンに大きな打撃を与えました。2019年末頃に最初の症例が確認された新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は、商品調達の遅延や途絶を引き起こし、世界経済の減速をもたらしました。日本を含むアジア地域は他地域と比べ自然災害の発生件数が多く、レジリエントなサプライチェーンの構築が重要であるといえます。

サプライチェーン・マネジメントのメリットと課題

サプライチェーン全体を最適化することは、さまざまなメリットをもたらします。原材料や部品の調達にかかるリードタイムの短縮は、生産性の向上につながります。また、適切な在庫管理を行うことでコストが削減できるとともに、人的リソースの活用や顧客ニーズへの対応においても多くのメリットが見込まれます。

このようなサプライチェーン・マネジメントにおいては、デジタル技術の活用が大きな鍵となります。サプライチェーンのデジタル化により、製造工程をリアルタイムで把握できるほか、他社も含めたデータ連携によるサプライチェーン横断的な生産工程の可視化、サプライチェーンリスクの予測分析などが可能となります。Industry 4.0やマス・カスタマイゼーションを実現するために、デジタル化は不可欠といえるでしょう。一方、デジタル化には、コスト・技術面の問題やサイバーセキュリティ上の懸念など、留意すべき課題もあります。

また、近年では、脱炭素化や人権デュー・ディリジェンスの取り組みなど、企業のサプライチェーン・マネジメントに求められる要素が複雑化・高度化しています。これらの問題については、国内法による義務付けの有無にかかわらず、国際的な価値観に基づきガイドライン等 を参照しながら、自主的な取り組みを行うことが求められています。

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