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建設会社における災害時の事業継続力の認定制度

掲載:2010年03月01日

執筆者:取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介

ガイドライン

「建設会社における災害時の事業継続力の認定」は、建設会社が備えている基礎的事業継続力を関東地方整備局が評価し、適合した建設会社に対する認定証の発行および、その建設会社を公表することにより、建設会社における事業継続計画の策定を促進し、もって関東地方整備局の災害対応業務の円滑な実施と地域防災力の向上を目的として行うものです。

         

本制度は「建設会社の基礎的な事業継続能力を見るもの」

この認定は2年間の有効期限を持ち、認定審査は毎年四半期毎に4回※1行われています。
 
※1. 6月、9月、12月、3月のいずれかのタイミングで審査を受けることが可能

あくまでも「企業の取り組み姿勢をみること」が認定の主眼

認定にあたっての評価は、BCP策定有無ではなく、『基礎的な事業継続力(=BCP策定の取組姿勢)』を評価するものです。「基礎的な事業継続力が満たされているかどうか」は、「建設会社において最低限実施されるべき事項が実施されているかどうか」により判断されますが、より具体的には企業が定める「重要業務ならびに目標復旧時間」に対して実際に準備された体制が、以下の5項目の観点をどれだけ実質的に満たしているかどうかに審査の主眼がおかれることになります。
  • 災害時の対応体制
  • 対応拠点の確保
  • 情報発信・情報共有
  • 人員と資機材の調達
  • 訓練の実施

審査の方法は「書類評価」と「面接評価」

認定を受けるためには、必要な申請用紙を提出し無事に受領された場合、大きくは「書類評価」と「面接評価」が行われることになります。

「書類評価」は、いわゆる「整備状況評価(デスクトップレビュー)」であり、先述した観点それぞれについて、具体的に用意されたBCPの何ページにどのような記述がされているかを見て、書面上からその適切性を判断します。「面接評価」は、実際に担当者に面接を行い、書面からだけでは判断できない実際の実態について実効性を確認します。

準備には「建設会社のための災害時の事業継続簡易ガイド」が適当

本認定制度を受ける上で、最も参考になるガイドの1つが国土交通省 関東地方整備局から公表されている「建設会社のための災害時の事業継続簡易ガイド」です。このガイドは、認定を目指す建設会社が整えるべき必要最低限の事項が、サンプルの様式つきで解説されています。

ちなみに、このガイドはNPO法人事業継続推進機構の「中小企業BCPステップアップガイド・(第三版)」に影響を受けるところが強く、同ステップアップガイドの「第1部:BCPの基礎になる防災対策の実施」を土台に、カスタマイズを加えられた中身となっています。
  • 取り巻くリスクの認識(第1部.2)
  • 指揮命令系統(第1部.4)
  • 対応拠点の確保(第1部.3)
  • 情報発信・情報共有の取り方(第1部.3)
  • 社員の安否の確認(第1部.5)
  • 社員の安全確保、二次災害の防止と備蓄(第1部.6)
  • 重要な情報のバックアップ(第1部.7)
  • 必要な人員と資機材の調達等(第2部.17)
  • 建物の災害危険度の概略把握と多大な投資を要さない対策(第1部.8)
  • 簡易手法による重要業務の選定と目標時間(第2部.10)
【建設会社のための災害時の事業継続簡易ガイドより】
(※括弧内は、中小企業ステップアップガイドの対応項番)
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