契約時に留意すべき事項を整理、「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を公表 経産省
経済産業省は2月18日、AIの利活用を促す目的で「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を公表しました。AI関連サービスを契約する上での留意点について、法務部や顧問弁護士、ビジネス部門の担当者などが網羅的に検討できるようまとめられています。
AI関連サービスが活況を呈しているなか、AI関連の技術や法務に関する専門知識に乏しいと利活用する際に法的なリスクを見落としたり、保護されるべき情報が目的外で利用されたりして想定外の不利益を被る可能性があると懸念されています。そのため経済産業省では2024年10月末、「AI利活用に伴う契約時の留意事項検討会」を立ち上げ、AI利活用について契約時に留意すべき事項を整理、実務で使いやすいようにチェックリストとして取りまとめました。
チェックリストでは、「利用型契約」と「開発型契約」に整理し、検討すべき契約条件を示しています。利用型契約とは、AIシステムの開発を伴わない既存のAIサービスを利用する契約類型であり、生成AIサービスに代表される幅広い利用者への汎用的AIサービスの提供を想定しています。一方、開発型契約では、何らかのソフトウェア、データベース、モジュールやシステムの開発を伴う契約類型となり、汎用的AIサービスをカスタマイズするケースと、新規開発が伴うケースの二つを想定しています。なお、この分類は「AI事業者ガイドライン」(2024年)の整理を前提としています。
AI関連サービスでは、「インプット」を提供する場面と、「アウトプット」を出力・提供する場面があります。インプットとはプロンプトや学習用の生データ、アウトプットとは分析結果やコンテンツといったAI生成物などを指します。さらに、ベンダーがユーザーから提供されたインプットを用いて、アウトプット以外の処理成果(学習用データや中間生成物、派生的知的財産など)を創出したり、ユーザーがアウトプットを処理することにより何らかの処理成果(AI関連サービスが出力するコンテンツを自ら加工したもの)を得たりすることができます。チェックリストではこれらケースを想定して作成されています。