AIエージェント、Software-Defined Society(SDS)実現において中心的な役割を果たす可能性と紹介 IPA
Software-Defined Society(SDS)の実現を推進している情報処理推進機構(IPA)このほど、SDS技術コラムとして「AIエージェント」を紹介したコンテンツを公開しました。「2025年は『AIエージェント元年』とも言われる」などと紹介しています。
IPAによると、SDSが実現された社会では、ソフトウエアを活用してAIなどの先端技術を迅速に導入し、製品やサービスの価値を高めるとともに、大量のデータを収集・蓄積し、それをAIが分析することで、人間の知見を超える迅速かつ的確な意思決定が可能になるとしています。Software-Definedとは、ハードウエアを制御するソフトウエアを継続的に更新し、不確実性や変化するニーズに柔軟かつ俊敏に対応する考え方を指すもので例えば、SDV(Software-Defined Vehicle、ソフトウエアの更新で機能や性能を高めれられる次世代の自動車)が該当します。他方、SDSはSD(Software-Defined)をSocietyつまり社会全体に適用したものだとしています。IPAでは、AIエージェントについてSDSの実現において中心的な役割を果たす可能性を秘めているものと捉えています。
公開された「SDS技術コラム:AIエージェント」によると、AIエージェントは、受け身的な単なる会話にとどまらず、自律的なタスクの実行や継続的な学習まで担うことができ、業務効率化や人手不足の解消といった社会課題への対応にも寄与する可能性があるとされています。OpenAIやGoogle、Gartner、AICX協会の4者によるAIエージェントの定義を紹介しつつ、厳密な定義はまだ確立していないとし、一般的な解釈として「ユーザーから与えられた指示に基づき、自律的に問題解決やタスク実行を行うソフトウエア」と記しました。
コラムでは、AIエージェントの特徴▽従来型の生成AIとの違い▽AIエージェントの例▽AIエージェントの利点・課題▽AIエージェントの今後の展望――などもまとめられています。
例えば、「従来型の生成AIとの違い」では、次のように整理しています。
観点 | 従来型の生成AI | AIエージェント |
---|---|---|
目的 | コンテンツ生成(ユーザーの作業をサポート) | 特定の目標を達成(自律的にタスクを実行) |
機能 | リクエストやプロンプトに応答し、情報を提供して簡単なタスクを完了する | 複雑な複数ステップのアクションを実行できる、学習して適応する、独立して意思決定できる |
外部連携 | 一部可能(Web検索など) | 高度に対応(外部APIなど) |
活用例 | チャット、要約、翻訳、調査など | カスタマーサポート、営業活動支援など |
出典:情報処理推進機構「SDS技術コラム:AIエージェント」
IPAでは、AIエージェントによるソフトウエア開発の自動化が進めば、サービスの更新や機能追加などを迅速かつ柔軟に行うことが可能になると指摘しています。さらには人口減少が進む日本社会においては、AIエージェントがさまざまな分野で人手を補完・代替する存在として重要な役割を担うことが期待できるとしました。