業種別BCP: 運輸
業種の特徴
物流業は荷物の輸送、保管、荷役、流通加工、梱包・包装などの業務から構成されています。モノを送り主から送り先へ届けることで個人の生活や企業の生産活動を支えるというサプライチェーンの一部として重要な責任を担っています。
BCPの役割
物流業に携わる組織では有事においても平常通りのサービス提供(積荷・預荷の保全や配送など)が求められます。いつものように企業が製品を出荷し店頭に商品が並ぶことが社会生活の混乱を防ぐことにつながるからです。その他、災害発生時などにおいては被災地の被害拡大の防止・早期復旧のため、医薬品、食料などの緊急支援物資をいち早く届ける役割も特に期待されています。
BCPのキーポイント
有事において物流業に求められる役割を果たすためには主に次の二点がポイントになります。
まず一点目は被害を受けないよう荷物を守ることです。荷物を守るための対策として車両と荷物の状況把握、安全な退避・帰庫ルールの整備、従業員との連絡手段の確保などがあります。
二点目のポイントは被害を受けてしまった場合の業務再開手順の整備です。そのための対策としては倉庫や事務所拠点が使用できなくなった場合の代替施設の候補選定、受発注機能など業務の根幹を担う情報システムの復旧手順の整備が挙げられます。その他、輸送手段を確保するための対策として、車両の保全、配車担当者の複数選任、燃料確保ルールなどの整備も有効です。
なお、これらの対策やルールを検討するに当たっては、平時より送り主と目標復旧時間や荷物の保全要件、連絡手段など非常時の要請事項を取り決めるなどの協力が必要です。更に被災地への緊急支援物資を扱う場合には必要に応じ緊急通行車両の事前届出も考慮が必要になります。
ガイドライン・関連記事
- 自然災害時における物流業のBCP作成ガイドライン (一般社団法人 日本物流団体連合会)
- 事業継続計画書(BCP)作成のてびき (一般社団法人 日本倉庫協会)
- 中小トラック運送事業者のためのリスク対策ガイドブック (公益社団法人全日本トラック協会)