東京都は3月28日、「東京都避難所運営指針」の策定を発表しました。この指針は、発災時に避難所で誰もがストレスなく安全に過ごせるよう、都としての方向性を定めたものです。
都は2月14日に素案を発表し、3月16日まで意見募集を受け付けていました。このたび公表されたのは、意見募集の結果もふまえて作られた完成版です。
本指針は、第1編「東京都が目指すべき避難所と取組の方向性」と第2編「避難所避難者等への支援ガイドライン」の2つの柱で構成されています。
第1編ではまず、過去の大規模地震における事例などをふまえ、避難所における主な8つの課題を整理しています(①生活空間の確保②トイレ環境の確保③食事の提供④入浴機会の確保⑤女性・要配慮者等への対応⑥ペットの受入体制の整備⑦避難所運営体制の構築⑧物資輸送のラストワンマイル対策)。その上で、これらの課題を解決させるために目指すべき基準や、都や区市町村が進めるべき取り組みがまとまっています。
例えば①については「一人当たりの居住スペースとして3.5平方メートルを確保すること」などを基準に掲げています。また、②に関する基準の一つとして「発災当初には、50人に1基、避難が長期化する場合(発災1週間以降)には20人に1基の設置及び男女比1:3のトイレ設置が実現していること」が記載されています。これらは、国際的な基準「スフィア基準」に準拠したものです。
⑤に関する基準としては、女性や性的マイノリティ、要配慮者(高齢者、障害者、難病患者、乳幼児、妊産婦、外国人など)のプライバシーが確保され、それぞれの事情に応じた居室やスペースを確保することなどが書かれています。また、進めるべき具体的な取り組みも複数示しています(避難所運営委員会の運営メンバーに女性や性的マイノリティ、要配慮者を加えること▽運営メンバーの4割以上を女性とし、運営マニュアルの作成段階から女性の参画を推進すること▽平時から避難所の運営方法などの話し合いの際に子どもの意見も聴き、運営マニュアルに反映することなど)。
第2編は避難所運営者向けのガイドラインとなっています。具体的には、避難所運営体制の確立の方法、避難所の指定、平時の準備事項などに関して具体的なポイントが掲載されています。