能登半島地震や過去の災害で得られた教訓を踏まえ、避難所の改革を進めようとしている東京都は2月14日、「東京都避難所運営指針」(素案)を策定し、意見公募を開始しました。意見の受け付けは3月16日まで。東京都は寄せられた意見を踏まえて3月末までに決定、公表する予定です。
公表された素案によると、「東京都避難所運営指針」は第1編「東京都が目指すべき避難所と取組の方向性」と第2編「避難所避難者等への支援ガイドライン」の2編構成です。第1編では、避難所における課題を整理し、誰もがストレスなく安全に過ごせる避難所、早期に生活復帰できるような避難所としてあるべき姿を示しています。続く第2編では、ガイドラインとして避難者(避難所および避難所以外の場所)に対する支援の具体的な要点を記載しています。
例えば第1編では、避難所におけるこれまでの課題を8つに整理した上で、それぞれに対応する、目指すべき避難所の基準と、進めるべき取り組みを明らかにしています。具体的には、従来の避難所では一人当たりの居住スペースが狭小で雑魚寝による避難生活を長期にわたり強いられるケースが多くありました。この環境を改善するため、一人当たりの居住スペースとして3.5平方メートルを確保するとともに、すべての避難者に簡易ベッドや仕切り、テントを速やかに配布できるよう、備蓄を拡充させます。簡易ベッドなど必要な防災設備を区市町村が備蓄できるよう、東京都は補助事業を2025年度に計画しています。
避難所における生活環境の改善に向けては政府も昨年12月、能登半島地震を踏まえた災害対策検討ワーキンググループでのとりまとめや国際的な基準「スフィア基準」(人道憲章と人道対応に関する最低基準)などを踏まえ、「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」や「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン(チェックリスト)」、「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を改定しました。今般東京都が策定した指針は、こうした文書を参考にするとともに、東京都独自の基準を設けたとしています。具体的には、避難所の運営体制について「女性や要配慮者が避難所運営に参画(メンバーの4割以上は女性)」とすることなどが東京都独自の基準と記されています。