少し前になりますが、2008年8月7日、東京都(総務局)から、都としては初めてとなる事業継続計画(BCP)「都政のBCP(東京都事業継続計画)<地震編>の素案」が公表されました。
都政のBCP(東京都事業継続計画)<地震編>の素案
都が本BCPを作成・公表した狙いは、東京都の実質的な災害対応力を高めることにあり、その計画の中で「都民の生命、生活及び財産保護」や「都市機能の維持」の実現をめざしています。もう1つの狙いは、区市町村や民間企業の円滑なBCP策定を促すことにあります。都が率先してBCPを作成することにより、ライフラインの復旧状況やスピードを想定しやくすなり、区市町村や民間企業がより明確なイメージを持って自組織のBCPの作成を行いやすくなります。
特徴として、本BCPでは被災シナリオに「東京湾北部地震M7.3(※1)」を想定しています。また、地震の発生時期を冬とし、発生時刻を大きく2つ(朝5時と夕方18時)のパターンに分けています。このような条件を設定したのは、上記条件であれば、(万が一条件と異なるパターンに遭遇したとしても)比較的広範囲の事態に対応できるためだと思われます。また、(重要業務を洗い出し復旧目標値を決定するために行う)事業インパクト分析では、総業務数2,892を下記のようなABCDランクに分けた以下のような重要度分類を行っています。
- 発災後すぐに業務に着手すべきもの
- 発災後3日以内に業務に着手すべきもの
- 発災後1週間以内に着手すべきもの
- それ以外
タイトルにありますようにまだ「素案」レベルですが、であるからこそ、少なくとも都内で活動する組織(営利・非営利を問わず)は、自組織のために一度は目を通しておいたほうがいいと思います。
- 「都がどの程度の復旧レベル・復旧スピードを目標として計画を立てているのか?」
- 「計画に対して、どこまで実質的な整備が進んでいるのか?」
- 「自分達の利益保護の観点から、都の計画に抜け落ちている点が無いか?」
などの事項を確認し、必要であれば声を上げていくことが大切ではないでしょうか。
※1 平成18年5月に東京都防災会議が発表した「首都直下型地震による東京の被害想定」による