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英国BCP識者訪問の旅(5) BS25999認証取得企業:スコティッシュパワー

掲載:2010年07月07日

執筆者:代表取締役社長 副島 一也

コラム

今回はスコットランドにあるエネルギー企業「スコティッシュパワー」訪問の様子をお届けします。

まず、場所ですが、遠いです。スコットランドです。取材当日のアポの時間は朝9時。朝一番の飛行機もあるにはあるのですが、英国では飛行機はよく遅れます。1時間の遅れでも取材は出来なくなってしまうので、今回は安全を見て前日入りしました。ロンドン郊外のルートン空港から欧州で話題のローコストキャリア(格安航空会社)のひとつ、easyJetの最終便でスコットランドに向かいました。空港について時間を確認すると、「ん、2時間遅れている!」・・・空港で3時間以上待つハメになってしまいました。グラスゴー空港からホテルにたどり着いたのは夜中の12時頃でした。まあ、英国では時刻表は気休めみたいなもので、バスの時間がずれるのと同じような感覚です。とりあえず無事に着いたのでまずは一安心。

         

英国はエネルギー自由化の進んだ市場

英国ではエネルギーの自由化が進められているので、電気、ガスは同じ地域でもいくつもの企業が参入しています。実際、英国に住んでいると毎月のようにエネルギー企業から電話がかかってきて、良いサービスがあるので乗り換えないかと勧められます。料金体系や契約体型も多岐にわたり、競争は激しいものがあります。

さて、そんな中、スコティッシュパワーはスペインのイベルドロラの買収を受け、現在欧州第3位のエネルギー企業グループに属しています。風力発電設備や火力発電所、ガス発電所などを持っていますが、環境にやさしい潮力発電に取り組んでいることでも有名な企業です。

BS25999認証取得を取引先の契約条件に

グループセキュリティディレクター ゴードン・アービング氏

さて、そんな厳しい競争の中、電力供給に問題が生じるようなことになれば大問題です。「当社では事業継続計画は早くから重要な課題として認識されていました。」と話してくれたのはグループセキュリティ・ディレクターのゴードン・アービング氏です。正式にBCP担当部門が出来てBCP構築に取り組み始めたのは2001年頃とのこと。自社独自のリスクアプローチ手法に基づいた継続的改善を続けているため、現在ではかなり成熟した計画になり、昨年にはBS25999の認証も取得されました。

また、この取り組みは自社に留まらず、議論の場に取引先も加わってもらったり、合同で訓練をするなど、幅広いステークホルダーを巻き込んだ活動に発展させているそうです。特に発電所の保守業務はその70%がアウトソースされているため、アウトソース先も含めたBCPが策定され、訓練もおこなわれています。

今後は取引先との契約にはBS25999認証取得を契約締結条件に加える方針ですが、認証取得していない企業も規格を満たしていることを別の方法で証明することができれば認めるそうです。ここまでの取り組みは認証取得件数の多い英国でも画期的なことで、社会インフラであるエネルギーを止めない責任感、また激化する競争を勝ち残るための信念を強く感じました。

こうした取り組みが英国のBCM活動をどう牽引していくのか今後の動きにもより一層注目していきたいと思います。

BCM責任者David Epstein氏、Gordon Irving氏、Richard McGlave氏と当社副島、Newton IT(UK) 森本氏

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